天皇賞(秋) |
ロマンス降臨 天覧レースは大波乱 |
2005/10/30・東京競馬場 | ||||||||||||||||||||||||
ウイニングランを終え、スタンド正面に戻ってきたウイナーとジョッキー。松永はヘヴンリーロマンスの上でヘルメットを脱ぐと、ご観覧された天皇皇后両陛下に深々と頭を下げた。天皇賞がエンペラーズカップとして行われるようになってから今年で百年。西日に映えるその姿は、まるで馬上のナイトのように美しいシルエットを描いていた。
湧きあがる歓声を突き破るように、人馬が府中のターフを躍動した。道中は、昨年の年度代表馬ゼンノロブロイをぴたりとマークするかのように中団をキープ。直線で最内から伸びると、最後はロブロイを競り落として、悲願のG1制覇を果たした。 「G1の中のG1を勝てて嬉しいです」。輝くような“ミッキースマイル”がこぼれる。「最強馬を負かしてくれた。最後は(ロブロイに)一度出られたけど、よく差し返してくれた。低評価だったけど、力はあると信じていた」。デビュー以来、主戦を務めてきたパートナーをねぎらった。
これまで松永がJRAで制した5度のG1は、いずれも牝馬限定戦。念願の天皇賞も牝馬で仕留めたところが、いかにもミッキーらしい。自きゅう舎の馬では初めてのG1勝ち。再来年2月で定年を迎える山本師にとっては最高のプレゼントになった。「最後の最後でG1を勝ってくれたという思い。勝てんで終わるのかなという気持ちもあっただけに嬉しい」。愛弟子と一緒につかんだ勝利に、頬を紅潮させた。 もちろんロマンスの頑張りも素晴らしかった。「掲示板に載れば“御の字”と思っていた。この後はエリザベス女王杯を使う予定だったけど、これで選択肢が広がったね」と、さらなる活躍を願う。ようやく開花した晩成のヒロイン、そして松永の殊勲に、最高の笑顔を見せていた。(岡 浩司) |
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