マイルチャンピオンシップ |
G前強襲 ハットトリック新マイル王だ |
2005/11/20・京都競馬場 | ||||||||||||||||||||||||
最後まで分からなかった。内から先頭に躍り出たダイワメジャーだけを見つめて、ペリエとハットトリックは直線外めから猛然と追い込む。「後方のデュランダルを意識する余裕もなかった。ただ一生懸命に追った」と振り返った世界的名手。必死だった。ただ夢中でゴールへ飛び込んだ。
果たして勝ったのか。検量室前に引き揚げてきた鞍上は関係者の笑顔に迎えられ、ようやく確信した。馬上でニッコリ笑って、左手で小さなガッツポーズ。「よく走ってくれた」。上がり3F33秒3の脚を繰り出したパートナーをねぎらい、美酒に酔いしれた。 まさに“ペリエマジック”だった。発馬で少し後手を踏みながらスッと押し上げる。そして最後まで脚をためるのではなく、3角過ぎの下り坂から早めに動く大胆騎乗。攻撃的なアクションに、ハットトリックも見事に応え、鼻差で初めての栄冠をつかみ取った。
角居師も絶賛だ。「この末脚を一番いいレースでペリエがうまく引き出してくれた」。鞍上に後方待機策を託した前走の天皇賞・秋では7着に沈んだ。今回はあえて指示を出さず、その手腕を信じ切った。腹をくくり、すべてを託したことで最高の結果をつかんだ。 幼いころは体質が弱かったハットトリックは、牧場でも病気や骨折を経験した。それが「カイバもしっかり食べられるし、輸送にも神経を使わない」と新鋭トレーナーも認めるほどに成長。そしてハードな調教に耐えて、ついにG1ホースにまで上り詰めた。 夢は国内にとどまらない。すでに香港マイル(12月11日・シャティン競馬場)に登録を済ませている。招待されれば、現実味を帯びてくる海外遠征。「世界的に見てもタイム、切れ味は引けを取らない」とペリエ。日本の新マイル王が、世界に羽ばたく日は近い。(岡 浩司) |
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