ジャパンカップ |
アルカセット 世界レコードV |
2005/11/27・東京競馬場 | ||||||||||||||||||||||||
JC男の振るうムチが、アルカセットを奮い立たせた。直線は横一線の叩き合い。各国の強豪馬、そして世界の腕利きジョッキーたちの力比べだ。いったん先頭に出たゼンノロブロイを、アルカセットがゴール前で捕らえて前に出る。鞍上の豪快なアクションが手綱を伝うと、最後はインから伸びるハーツクライをハナ差封じ込んだ。掲示板に光る数字は衝撃の2分22秒1―。89年のこのレースでホーリックス(NZ)が樹立した2分22秒2の世界レコードを破る快挙だ。
鞍上のデットーリはこれがJC史上最多の3度目のV。96年シングスピール、02年のファルブラヴ、そして今回。すべてハナ差の勝利だ。わずか3センチの接戦を制し、歓喜を体全体で表現した。「言葉が出ないぐらいうれしい。JC向きだと思っていたし、攻め馬に乗った時、仕上がりぶりに感動した。だからかなり自信があったんだ。ハナ差でも何でも優勝は優勝だよ」と端正なマスクを緩ませた。
騎乗依頼はほかからもあった。だが、能力を信じてアルカセットを選択した。その裏には、85年に見習騎手として世話になったクマーニ師との絆も忘れてはいなかった。「イギリスに行ってからの大事な時期を師として、父として過ごしてきた。今の自分があるのも彼のおかげ。また組んで、勝つことができてうれしい」と声を弾ませた。クマーニ師は「生まれる前から知っているが、世界でもまれに見る才能の持ち主」と、愛弟子の姿に微笑んだ。 今後は様子を見て、香港ヴァーズ参戦も視野に入れている。「この勝利で最高峰のところまできた」とトレーナーは胸を張った。世界は広い。日本の至宝ディープインパクトにとっても、この先、脅威になりそうだ。(井上達也) |
|||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||
|