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阪神ジュべナイルフィリーズ

 伏兵プリキュア 無敗の2歳女王

2005/12/04・阪神競馬場
 
直線力強く抜け出して2歳女王に輝いたテイエムプリキュア=阪神競馬場
  降りしきる雨。鳴り響く雷。波乱の予兆はあった。直線しぶとく伸びて突き抜けたのは8番人気のテイエムプリキュア。わずか250万円で購入された市場取引馬が、デビュー3連勝で2歳女王に輝いた。1番人気のアルーリングボイスは14着と大敗。3連単は31万を超える大波乱となった。

 雷雨がぬらす重い馬場。ガムシャラに、あきらめず追ったその先に栄冠はあった。勝負どころから手応えが怪しくなったテイエムプリキュアに鞍上の“喝”が入る。追い通しのまま直線に向かうと、伸びあぐねる他馬をしり目に先頭でゴールを駆け抜けた。

▼ 第57回阪神ジュベナイルフィリーズ
1着  テイエムプリキュア
熊沢
1.37.3
2着 シークレットコード
藤田
1 1/2
3着 フサイチパンドラ
角田
1/2

 左手の薬指にキスをする味な演出で喜びを表現した熊沢は10月23日に入籍したばかり。約1カ月のわずかな間に、人生のパートナーを、そしてプリキュアという新たなヒロインを見事にエスコートした。91年有馬記念のダイユウサク以来のG1制覇に「うれしい。もう忘れかけていたから。上に従順でいい根性をしているし、前に出ようとする気持ちが強いんです」とほおを緩ませた

ファンの声援に笑顔で応える熊沢=阪神競馬場

 「ありがとう」と鞍上を出迎えた五十嵐師はG1初勝利だ。「うれしい。それしかない。G2もG3勝ちもないんだから、どう表現していいか分からない」。騎手時代も決して目立つ存在ではなかった。最高の出会いは91年のオークス馬イソノルーブル。新馬戦から主戦として4連勝。しかし、桜花賞の前哨戦を前にその鞍を譲ることとなった。あれから14年―。調教師となり、長く待ち望んでいた悲願のG1制覇に笑顔が途切れることはなかった。

 3戦3勝。無敗のG1馬として、来春の桜花賞をにらむ。「終わったばかりで興奮して…何も考えられない」。苦労人のトレーナーと、いぶし銀の鞍上。そして、決して派手とは言えない2歳女王が、クラシックシーズンを楽しみに待つ。(井上達也)

テイエムプリキュア…牝2歳。父パラダイスクリーク、母フェリアード(母の父ステートリードン)。馬主・竹園正繼氏。生産者・新冠 タニグチ牧場。戦績・3戦3勝。初重賞。総収得賞金・78、603、000円。五十嵐忠男調教師、熊沢重文騎手ともに初勝利。

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