有馬記念 |
善戦マンに終止符 ハーツクライG1初制覇 |
2005/12/25・中山競馬場 | ||||||||||||||||||||||
ルメールの左手が高々と上がった。猛然と襲い掛かる“若い力”を、ハーツクライの豊富な経験が封じ込めた瞬間、これまで人馬がともに味わってきたたくさんの悔しさは一気に吹っ飛んだ。 ルメールにとって日本のG1は10度目のチャレンジだが、これまで2着は5回を数えた。ハーツクライとのコンビでも秋の天皇賞6着。前走のジャパンCではわずか3センチの差の銀メダル。「何度も何度も反省をした。どういう乗り方が(ハーツクライに)一番合っているのか考えてきた。そして戦法を変えてみようと思った。中山コースは先行策が有利だから。自分なりの結論だった」。 これまでの追い込みから意表をつくような4番手も予定の行動だ。「まじめに走ってくれる馬だから、どこにいようが全力を出してくれると思った」。4角手前、逃げるタップダンスシチーをコスモバルクが交わして先頭へ。それを合図にするかのように攻撃を開始。最大の敵はまだはるか後方。ラスト二百メートル。堂々先頭へ躍り出ると、こん身の左ステッキが最後の頑張りを促す。そこへ外から、やはりディープインパクトが飛んできた。「あれだけの馬だからね。外から追い込んできたのはわかっていた。何とか我慢してくれと思って追った」。
ダービー、宝塚記念、ジャパンCといずれも2着。ハーツクライにとっても10度目のG1挑戦にしてつかんだ悲願のビッグタイトル。ルメールは早速、欧州の上半期チャンピオン決定戦キングジョージ(7月・英国アスコット競馬場)参戦をオーナーサイドに進言。もちろん「自分に乗せてくれ」。アピールも忘れていなかった。 27日に母国フランスへいったん帰国。年明けの18日に来日して、再び日本で1カ月間騎乗する。「世界の中でも一番(競馬に)熱い日本のファンの前で勝てたのが最高にうれしい。まして、こんなにたくさんのファンが来てくれた中でね。すべてがうまく運び、ハーツクライも力を全部出し切ってくれた。アリガトウゴザイマス」。最強のパートナーを賞賛したフランスの名手は、最高の笑顔で大一番を締めくくった。(村上英明) |
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