桜花賞 |
勝利のキス決めた! 2006/04/09・阪神競馬場 |
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桜が咲き誇るなか、争われた06年クラシック第一弾。後方待機から直線大外に進路を取ったキストゥヘヴンがゴール前で抜け出して桜の女王に輝いた。管理する戸田師は開業6年目で初のG1制覇。鞍上の安藤は初の牝馬クラシックを手にした。1番人気の武豊アドマイヤキッスは2着。歌手の前川清さんがオーナーのコイウタは3着に敗れた。 | ||||||||||||||||||
【2冠獲りへ意欲】
「思っていたより落ち着いてたし、折り合いをつけて気分良く走らせよう。前走で騎乗していたら先に行ってたかもしれない」と安藤。道中は後方で我慢。3角過ぎの勝負どころ、大外から加速した。「2走前で掛かってしまい、うまく乗れなかったからね。4角前では武クン(アドマイヤキッス)より手ごたえが良かったし、もしかしてと思ったけど…。よく伸びてくれたね」。壮絶な首位争いを演じていたアドマイヤキッス、コイウタを外からゴール前一気に差し切ったのは、まさにベテランの味。お見事の一語だ。 地方交流元年となった95年、雨降る淀の桜。1番人気ライデンリーダーで挑んだ笠松競馬の人馬は、執拗(しつよう)な中央勢のマークに4着と散った。あれから11年。すでに中央のジョッキーとなったアンカツにとって、初の牝馬クラシックを手にした。「それはあまり気にしてなかったけど、一つでもいいから牝馬のタイトルを取りたかった。ボクは馬への当たりが硬いので、牝馬はあまり縁がなかったから」。恥ずかしそうに喜びをかみしめた。 さあ、次はオークス。「距離(二千四百メートル)は分からないけど、折り合いさえつけばこなせる。とにかくリラックスして走ってくれたら」。2冠取りへ意欲をのぞかせた。
【豊キッス 痛恨2着】 こん身の右ムチ連打も実らなかった。悔しいほど鮮やかに大外を追い抜かれた。1番人気のアドマイヤキッスは痛恨の2着に敗れた。 「すごくスムーズで、いい形で直線までいけた。なんとか2着は取れたけど」とユタカは唇をかみしめる。道中は中団を追走、脚力を温存して直線へ向いたはず。しかし終始ピッタリ真後ろをついてきた勝ち馬に撃破された。 「マークされてもあれだけ強いんだからな」と松田博師は改めて底力を絶賛。だが、やはり残るのは悔しさだけだ。レース前の馬体重はマイナス14キロだったが、「細くはなかった。締まっていたんだろう」と話す。状態面は決して悪くなかったが、栄冠には届かなかった。 これでトレーナーの桜・皐月W制覇は夢と散った。しかし、まだ戦いは始まったばかり。「また来週頑張るわ」。アドマイヤムーンなど有力馬3頭を皐月賞に送り込む指揮官は、敗戦をバネに巻き返しを誓った。 【コイウタ3着に横山典ショック】 最後は3頭が激しい追い比べ。歌手・前川清さんの愛馬コイウタは3着に敗れた。「負けたといっても紙一重だからね。上位の2頭は乗ったことのある馬で強いのはわかっているから…。とりあえず悔しい」と横山典はショックを隠せなかった。輸送時間を考慮して早めに栗東入りした効果は結果に表れた。「よく頑張っているよ。今回は工夫してくれたし、いい仕上げだったからこそ好走にもつながった」と、コイウタと陣営をねぎらっていた。 【前川清オーナー 歌詞通りの気分】 歌手・前川清(57)がオーナーで、ヒット曲「恋唄」から名付けられたコイウタは、自身の所有馬として初のG1レース3着入賞を果たした。前川は「いいレースをしてくれました。『ほんの短い夢でもとても幸せだった』という歌詞通りの気分です」と満足そう。芸能人オーナーとして54年ぶりのクラシック制覇はならなかったが、勝ち馬との差はわずか。最後の直線での見せ場も十分だった。 レース前にはパドックで騎乗する横山典騎手に会い、「恋唄でも歌いながら、気楽に乗ってきて」と声をかけたという。馬券はコイウタ中心に馬連、馬単を買ったものの、単勝は買わず。「2着に来てくれれば当たってたんだけど」とぼやきつつも、細い目をさらに細めながら、前川の笑顔は絶えなかった。次の舞台はG1・オークス(5月21日、東京競馬場)が有力。「楽しみになりましたね。距離が延びた方がいいと思うし」と、期待は増す。次こそは祝勝会で「恋唄」を熱唱できるかも。 |
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