天皇賞(春) |
圧巻!国内最強証明 2006/04/30・京都競馬場 |
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春の盾史上、最も人気を集めたディープインパクトが、常識破りの3コーナーまくりで4度目のG1制覇を決めた。3分13秒4の勝ち時計は、97年のマヤノトップガンの記録を1秒0も短縮する日本レコード。春秋合わせて天皇賞9勝目とした武豊は、保田隆芳元騎手が持つ最多勝利(10勝)に王手。池江泰郎師は3度目の天皇賞制覇となった。具体的な海外遠征については明言を避けたが、国内最強を改めてアピールし、夢へ大きく前進した。 | ||||||||||||||||||
【9年ぶり1秒短縮】
想像を超えた、ケタ外れの勝ちっぷりだった。立ち上がり気味に出たスタートも関係なかった。後方2番手から追走すると、歓声と拍手が待ち受ける1周目のスタンド前を折り合って通過。向正面でジワリとポジションを上げると、2度目の3コーナーで一気にキバをむいた。「いつもより早く飛んだ」と武豊。持ったまま大外をまくって4コーナーへ進入すると、一瞬のうちに先頭へ躍り出た。信じられない光景―。レースの上がり4Fは驚異の44秒8。直線へ向いても未知の速さで押し切った。 「気持ち良かった。強いディープを見せることができて、うれしかった」と鞍上では武豊が空に向かって4本の指を伸ばす。4度目のG1制覇。昨年の有馬記念で初めて敗北を味わったタッグは、悔しさを経験してさらに強くなった。「もう、ああいう思いはしたくない。ああいう走りをさせたくなかった」。日本最長距離のG1で、王者は再び絶対的な強さを見せつけたのだ。 これまでレースではカドの丸いてい鉄をはいていたが、レース前の金曜にてい鉄が打ちかえられた。スピード勝負に対応できるように今回はエッジを立てていた。スタッフが一丸となって生みだした圧勝劇だったと言えるだろう。 ユタカは春秋を合わせて9度目の天皇賞制覇。かつて“天皇賞オトコ”と呼ばれた保田隆芳元騎手の10度の記録に王手をかけた。「ボク自身がこの馬に託すことは大きい。ボク自身の夢を、この馬ならかなえてくれるんじゃないか」。その視線は海外G1をにらんでいる。無敗3冠から始まった怪物伝説は、想像をはるかに超えたスケールで進行している。
【リンカーン“レコード”銀】 横山典のひと言がすべてを集約していた。「時代が悪い。あの馬と走っているのだから仕方がない」―。 風のように通過していった怪物を追い、4角手前でリンカーンを馬群の外へ。直線入り口で“しっぽの先”ぐらいまでは接近した。必死の右ムチで追いすがる。しかし、その差は広がる一方だった。「完ぺきに乗れたし、ディープが早めに来ることも期待通りだった。それでも負けた。1頭抜けていたということ」。リンカーン自身も従来のレコードを0秒4上回るタイムで駆けた。何度も経験したG1レースでの2着。そのなかでも横山典にとって納得のいく銀メダルだったのではないか。 音無師も勝ち馬の強さに脱帽だ。「どうしようもないね。あんな勝ち方見たことがない。負かそうという考え自体が間違っていた」。それでも1番人気を裏切り掲示板すら確保できなかった前2年の悔しさはない。「ピタリと折り合っていたし、あれ以上はないという競馬をしてくれた。納得、納得」と笑顔を見せた。 今季の充実ぶりは改めて証明された。次は宝塚記念(6月25日・京都)。あの馬さえ出てこなければ、念願のG1タイトル奪取が今度こそ実現する。 【ストラタジェム3着に師満足げ】 3月にきゅう舎を開業したばかりの平田きゅう舎のストラタジェムが3着と健闘した。調教師としてG1初挑戦だっただけに、平田師は「よく頑張った。馬に“ありがとう”と言いたい」と満足げ。また騎乗したボスはパートナーの労をねぎらったあと、ディープを指さして「インターナショナルホース。“スカイズザリミット(青天井)”だね」と感心しきりだった。 【デルタブルース 不完全燃焼10着】 一昨年の菊花賞馬デルタブルースは、10着に終わった。道中は後方のインを追走していたが「内ラチ沿いの出るに出られないところに閉じ込められて、どうしようもなかった。状態は良かっただけに残念」と岩田。不完全燃焼のレースに悔しさを隠せない。また角居師は「目標としていたレースだけに残念。でも、このあとはディープが海外に行ってくれるそうだから」と首をすくめた。鬼のいぬ間に無念を晴らすか。 |
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