ヴィクトリアマイル |
ダンスインザムードが初代女王 2006/05/14・東京競馬場 |
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春の古馬女王はダンスインザムード。好位の内からゴール前一気に抜け出し、先輩桜花賞馬の意地を見せて2年1カ月ぶりの勝利を飾った。北村宏は待望のG1制覇で、次の安田記念でG1連覇へ弾みをつけた。2着にエアメサイアが大外から追い込み、断然の1番人気ラインクラフトはは、中位のまま見せ場もなく9着に敗れた。 | ||||||||||||||||||
【「やったあ!」】 涙はなかった。物静かな男には派手なガッツポーズもなかった。 「余裕ありませんでした」と照れたが、検量室に戻ってくるなり「やったあ!」。腹の底からうれしさを絞り出した。デビュー8年目で待望のG1タイトルを手にした北村宏。自きゅう舎で日ごろから調教をつけてきたダンスインザムードでの大きな大きな勲章だ。
「岡部騎手(引退した名手)ならまだ追わなかったよ」。04年の有馬記念以来のG1となった藤沢和師は、独特の言い回しで愛弟子の勝利を褒めた。ダンスインザムードにとっても、一昨年の桜花賞以来の勝利。「自分の走りたいスピードで走って、気が済んだら力を抜いてしまう」と北村宏。そんな気持ちの弱さを我慢強くケアしてきた。「前走では別馬のように落ち着いていた。年取ったし、みんながあきらめたから良かったんじゃないかな」。師は満足そうに笑った。 次は安田記念(6月4日・東京)でG1連勝を狙う。「最初から春は3戦を予定。今度は強い牡馬が相手だし、また頑張ってもらいたいね」。ひと皮むけた愛馬と、そしてたくましく成長してきた愛弟子。ここまで不振を続けてきた常勝・藤沢和軍団。逆襲の導火線にも火がついた。 【社台ファーム生産馬でワンツー!】 社台ファーム生産馬がワンツーフィニッシュを決めた。ダンスインザムード、エアメサイアがゴールインするのを見届けると、代表の吉田照哉氏は「いいレースを新設してくれた」と笑顔。ダンスについて「ここまで無理せず大事に使ってくれた。さすが藤沢調教師というところをみせてくれました。北村騎手も実力あるし、チャンスを生かしてこれからも頑張って欲しいですね」と関係者の労をねぎらっていた。 【エアメサイア3着 豊3週連続Vならず】 枠順の差が勝負の明暗を分けた。エアメサイアは直線で外から鋭く伸びたが、2着が精いっぱいだった。3週連続G1制覇がかかっていた武豊は「惜しかったです。内を走る方が断然有利。(18)番枠なりに最善のレースだった。強い馬が(1)番枠で楽なレース。逆だったら良かった」と悔しさを胸に秘め、静かに振り返った。それでもメンバー最速の上がりをマーク。実力は発揮した。伊藤雄師も「枠順だけ。重い洋芝のところをよく伸びている。状態も良くなっていた」と残念そうに唇をかみしめた。 【ラインクラフト 見せ場つくれず9着…】 1番人気のラインクラフトは9着に終わった。発馬が気持ち遅れて、道中は中団を追走。最後まで見せ場をつくることもできなかった。福永は「スタートでちょっと引っ掛けた。でも4コーナーを回るときは、手応えもあったけど…。追い出してからはじけなかったね。あんなに負けるとは思わなかった。デキも3走目で良くなっていた」と思わぬ敗因に首をかしげた。瀬戸口師も「道中の始めはちょっと引っ掛かっていたが、そのあとはスムーズだった。分からないなあ。(福永)祐一に聞いてくれ」と言葉少なげだった。 |
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