スプリンターズステークス |
テイクがススプリント世界王者 2006/10/01・中山競馬場 |
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雨中の中山競馬場が夢列車の停車駅になった。1番人気に支持されたテイクオーバーターゲットが先行争いから早々と抜け出して、後続を封印。1戦を残してグローバル・スプリント・チャレンジ(GSC)のシリーズ王者に輝いた。約11万円で購入された雑草馬が、賞金3億1648万6000円も獲得。次はGI香港スプリント(12月10日・シャティン)でボーナス100万ドル(約1億1800万円)を狙う。2着に10番人気メイショウボーラー、3着に最低人気のタガノバスティーユが入り、3連複は重賞最高、3連単はG1最高配当記録を更新した。 | ||||||||||||||||||
【力見せつけた!逃げ切り2馬身半差V】 スピードが違った。難なくスタートをクリアしたテイクオーバーターゲットは、同枠のサイレントウィットネスを外に2頭で楽々と前へ。決して無理することなく自然にハナに立とうとするところ、さらに外からステキシンスケクンが絡んで3頭雁行(がんこう)の形でレースを引っ張った。
馬を信じた。レース前にジャニアック師との作戦会議では、サイレントウィットネスの先行は念頭になかった。それでも「自分のレースに徹すると決めていたから動揺はなかった」とフォード。直線に入って満を持してアクションを起こすと、一瞬のうちに2馬身ほど前に躍り出る。あとは弾丸の伸び脚で真一文字にゴールを目指し、その差は少しも詰まらなかった。 「ペースが速いことは分かっていたから、直線では後ろから来る馬が頭から離れなかった。でもゴールが近づけば近づくほど馬が強くなる感じがした」。テイクの底力に改めて驚かされた。 これでGSCのシリーズ3勝目。アウエーの勝利で2倍の20点を獲得し計53点で、ぶっちぎりの優勝を決めた。12月に行われる最終戦の香港スプリントを制すれば、4カ国に参戦して3カ国でGI3勝以上という過酷な条件を満たして100万ドルのボーナスが支給される。まさに夢の途中だが「一番いいときの姿を自分自身見ることができ、また皆さんに見せることができたことが何よりうれしい」と愛馬を称えた。 まだあどけなさの残る22歳の若武者。「僕の人生を変えてくれた特別な馬。世界に通用する素晴らしい才能」。夢の超特急との旅は、終着駅を知らない。 【タクシー運転手・ジャニアック師笑顔】 勝利のワイングラスを右手で揺らしながら、オーナーでもあるジャニアック師は穏やかにほほ笑んだ。「前走に比べて、今回は順調にこれたし、すばらしいレースができた。110%の競馬。馬は能力を100%出してくれたし、あとの10%はスタッフのおかげ」。まさに人馬一体、その厚い信頼感の上に築き上げられた歓喜のVだった。 03年のセリで1250豪ドル(約11万円)で購買された馬。「ヒザが悪かったので手元に置いておいた。だけど磨いてみたら光った。さらに磨いたらもっと光った。お金を目的でやってきたわけじゃないし、ただベストスプリンターを目指してやってきた結果だよ」。想像を超えた愛馬の出世ぶりに目を丸くした。 タクシー運転手をしている師と11万円馬のサクセスストーリー。「馬体の回復を見ながら、次回も頑張りたい」。香港ではさらなるビッグボーナスが待っている。 【メイショウボーラー 粘った2着】 テイクオーバーターゲットには歯が立たなかったものの、2着に粘ったメイショウボーラー。「スタートは良かったけど、外から来られたので控える形に。ペースはそう速くなかったし、いい形で進められたね。雨が降って下が軟らかくなってくれたのも良かった」。福永は、力を出し切り満足げな表情を浮かべた。白井師も「勝ち馬が強すぎた。でも賞金を加算できて今後が楽しみになったよ」と笑顔で競馬場を後にした。 【タガノバスティーユ3着 大波乱呼んだ】 3連単は260万馬券。最低人気の3歳馬タガノバスティーユが大波乱の使者となった。インをロスなくさばいた勝浦は「冷静に乗れました。前が残る流れでしたから、展開が向いたわけではないでしょう。狭いところを割って出て来られましたしね。3歳馬でこれだけやれるんですから、すごい馬ですよ」と予想以上の好走に目を丸くしていた。 |
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