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マイルチャンピオンシップ

秋盾→マイルCSは19年ぶり
ダイワメジャー G1連覇

2006/11/19・京都競馬場

▼ 第23回マイルチャンピオンシップ
1着 
ダイワメジャー
安藤
1.32.7
2着
ダンスインザムード
武豊
3着
シンボリグラン
柴山
1 1/4
   
 G1馬が6頭も顔をそろえた秋のマイル王決定戦は、1番人気のダイワメジャーが4角で先頭に立つ横綱相撲で完勝。天皇賞・秋に続くGI連覇を達成した。同年の天皇賞・秋、マイルCS連覇は87年のニッポーテイオー以来19年ぶりで、騎乗した安藤も区切りのG1レース10勝目をマークした。
ダイワメジャー(10)はダンスインザムード(右)の追撃をかわし、マイルCSを制覇=京都競馬場

 【安藤G1レース10勝目!「負ける気しなかった】

 とにかく自分のペースを守るだけ。そうすればおのずと結果は付いてくる。安藤はレース前からしきりにこの言葉を繰り返してきた。ダイワメジャーが残り四百メートルで先頭に立った時もパートナーの力を信じ、外からダンスインザムードが猛追してきても焦りはなかった。3つ目のG1は、そんな信頼関係から生まれた。

プレゼンターの安田美沙子から花束を受け取る安藤=京都競馬場

 ステキシンスケクンの2番手を進み、理想的な展開に持ち込んだ。4コーナーを過ぎてから早めに先頭へ立ち、ムチが手綱に絡まるアクシデントがありながらも、追い上げてきたライバルたちを完封した。自分でレースをつくっての完勝。誰もが認める強い競馬だ。

 「自分のペースで行こうと思ってました。行きっぷりと手応えが違っていたね。天皇賞も今日も力で押し切る強い競馬だった」と安藤は笑顔で振り返る。ラスト百メートルでダンスインザムードが迫っても「ダンスがきたらまた反応した。負ける気がしなかったし、今日も馬の力を出せてよかったよ」。下手な小細工はいらない。最後まで馬の力を信じて乗った。

 昨年はルメールが同じような競馬をしてハットトリックに差されたが、天皇賞馬として臨んだ今年は何もかもが違っていた。当初はジャパンCへ使うプランもあったが、上原師は「未知の二千四百メートルより勝てる確率が高いこちらを選んだ」と迷った揚げ句に決断し、確勝を期して臨んだ。それだけに喜びも大きい。「G1を連勝できてよかった」。その表情には喜びと安どの表情が入り交じっていた。

 次走について「これからオーナー、関係者と相談して決めたい」と現段階では未定となっている。しかし、今ならどこへ出てきても大丈夫。メジャー、安藤の信頼関係は、そう簡単には崩れない。

 【大城オーナー「感動」×3】

 オーナーの大城敬三氏(83)にとって、非常にハッピーな1日になった。この日の京都5Rではダイワメジャーの異父妹ダイワスカーレットが快勝し、メーンのマイルCSも制した。ダブルの喜びを味わった。「JCではなくこっちを選んで良かった。妹が新馬を勝ってくれたし、感動、感動、感動です」と満面の笑みを浮かべた。

 【ムード2着 猛追及ばず…】

すべてが思い通りに進んでいた。道中は中団後ろで脚をため、武豊は最後の直線でダンスインザムードを外に導く。左ステッキに応えて伸びるダンス。前で粘るダイワメジャーを捕らえようとひと追いごとに差を詰めたが、それ以上に相手はしぶとかった。追いすがったものの結果は2着。ヴィクトリアマイルC以来となるG1制覇の夢は、なし得なかった。

 メンバー最速の上がり3F34秒5を刻んだ。届きそうで届かなかった首差。「勝ったかと思ったんだけど…。流れは良かったし、全部がうまくいったんだよ。でも相手が強かったね。あの馬の出ないレースがいいよ」。ダイワメジャーの強さに、さすがのユタカも脱帽といった表情だった。

 藤沢和師もサバサバした口調で振り返った。「いい勢いで行ってたんだけど、向こうは並ばれてからもうひと伸びした。天皇賞でも“かなわない”と思ったが、またその通りになってしまったよ」。3戦続けて後じんを拝した、ダイワメジャーの強さを称えた。

 このあとは、選出されれば香港マイル(12月10日・シャティン)へ。“天敵”のいない舞台で、海外G1制覇を目指す。

 【シンボリグラン 伏兵評価も奮闘3着】

 8番人気の伏兵シンボリグランが、3着に奮闘。人気を集めた強豪2騎に迫り、ゴール前を沸かせた。前走に続いて、課題の発馬をクリア。「千六百メートルでも、折り合ってくれました。4コーナーでコースロスがありましたが、競馬を覚えてきていますね。このまま無事にいけば、GIでも楽しみです」と、柴山は笑顔を浮かべた。心身ともに安定し、確実に成長中。今後につながる走りを見せた。

 【キンシャサノキセキ 今後につながる5着】

 1600万下を勝ったばかり。果敢にGIに挑戦したキンシャサノキセキが、5着に踏ん張った。道中は少し前向きになりすぎたが、しっかり掲示板を確保。「行きたがってしまいましたね。それでも(3、4着馬に)そんなに負けていませんから。走りますね」。コンビを組んだ秋山は素質を評価する。遅生まれの豪州産馬で今が伸び盛り。関東優位のマイル路線に、また1頭精鋭が加わった。

 【コートマスターピース 自慢の末脚不発7着】

 英国の刺客、コートマスターピースは7着に敗退。後方でじっくりと流れに乗ったが、自慢の末脚は届かずじまい。外国馬による、初のマイルCS制覇は夢に終わった。「ペースが上がったときに、滑る感じになってしまい…。この馬本来の走りができなかった。残念だ」と、悔しそうな表情を浮かべたデットーリ。雨粒を吸い込んだ馬場状態ながら、この高速決着。地力のある欧州G1馬にとっても、厳しい戦いになった。

 【ハットトリック 連覇果たせず8着】

 昨年の覇者ハットトリックは、後方から上がり3F34秒7の脚を繰り出したが8着に終わった。「そんなに下(馬場)を気にしていたわけでもなかったけど」と岩田はため息まじり。今回もスタートがひと息で「ゲートで2、3回もぐろうとした」と首をかしげた。関西馬では最先着だったが、不完全燃焼な競馬で連覇の夢は果たせず。「よく頑張ってたけどね。選ばれれば行きたい」と、角居師は香港マイル連覇へ向けて、気持ちを切り替えていた。

 
ダイワメジャー…牡5歳。父サンデーサイレンス、母スカーレットブーケ(母の父ノーザンテースト)。馬主・大城敬三氏。生産者・北海道千歳市 社台ファーム。戦績・20戦7勝。重賞・04年皐月賞、06年天皇賞・秋など6勝。総収得賞金687、244、000円。上原博之調教師、安藤勝己騎手ともに初勝利。

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