桜花賞 |
スカーレット満開・桜女王 2007/04/08・阪神競馬場 |
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新コースとなって初めて行われた牝馬クラシック第1弾、3番人気のダイワスカーレットが桜の女王の座を手にした。直線で早めに先頭に立ち、後続の追撃を許さず完勝。安藤勝は昨年のキストゥヘヴンに続き、史上4人目となる連覇で、JRA通算700勝を達成した。1番人気のウオッカは猛追及ばず2着、3着は7番人気のカタマチボタン。2番人気アストンマーチャンは7着に沈んだ。 | ||||||||||||||||||
【ラスト3F33秒6】 ゴール手前で安藤勝は勝利を確信した。直線半ばでGOサインを受けると、ダイワスカーレットは早々と先頭へ。ウオッカが必死に追撃するが、差は縮まらない。ラスト3F33秒6の上がりを駆使して、さらにもうひと伸び。影すら踏ませることなく、セーフティーリードを保ったまま、見事に桜の女王の座を手にした。 いつもは冷静なベテランからガッツポーズが飛び出した。「珍しい?そうだね。ウオッカも強かったから。負けても仕方がないと思っていた」。そっと明かした心の内側。前哨戦のチューリップ賞ではウオッカに完敗し、ライバルの強さを肌で感じた。それでも、必ず逆転の余地はある。そう信じて疑わなかった。
【“秘策<nマった 】 瞬発力勝負では分が悪い。敗戦を糧に、練った“秘策”だった。持ち味の先行力と長く使える脚、ふたつの武器を最大限生かすことに集中。好位の外めで行きたがる面をのぞかせたが、3角でペースが上がると落ち着きを取り戻す。あとは、並ばれる前にスパートをするだけだった。「前走より早めに動いていった。最後まで止まらない感じだったからね。何回か(ウオッカの)顔が見えて。最後も安心しようと思ったら、後ろから伸びていたね」。くしくも、上がり3Fの数字は同じ。1番人気馬がいくら追っても捕まえられるはずがない。 異父兄ダイワメジャーは04年の皐月賞馬。昨年の天皇賞・秋、マイルCSでは、自らの手綱で兄をVに導いている。兄妹クラシック制覇に「そういうのはうれしいね。レースぶりは似ているけどタイプは違う。メジャーは重量感があって、スカーレットはしなやか」と話す。同時に決めた、JRA通算700勝に「全然知らなかった。でも、このレースで達成できたのはうれしい」。史上4人目の桜花賞連覇。会心の勝利、格別の味に表情が緩む。 次はオークス(5月20日・東京)で2冠を狙う。「長い脚を使えるので、距離は延びてもマイナスではないと思う。あとはもう少し息を抜いてほしいね」。課題を挙げながらも期待に胸を膨らませた。来週の皐月賞も同じコンビ、松田国きゅう舎のフサイチホウオーで挑む。「そういう意味でもすごく良かった」。サンライズバッカスのフェブラリーSに続き、早くも今年2度目のGIゲット。円熟味を増した47歳の視線は、クラシック連勝をとらえている。
【オーナーもアンカツ絶賛 】 オーナーの大城敬三氏は満面の笑みを浮かべた。「まさかウオッカに勝てるとは…ずっと声が出てたよ」と笑いが止まらない。姉のダイワルージュが3着(01年)に敗れているだけに、悲願の桜花賞戴冠に喜びもひとしおだ。「絶妙なタイミング。さすがアンカツさん。すばらしいね」とジョッキーを絶賛。先日のドバイ遠征ではダイワメジャーで3着。「勝負事だし、そういうこともあるよ。まだまだ強くなりそうだね」。晴れ晴れとした笑顔で競馬場を後にした。
【松田国師新コースで良かった】 初めての桜花賞制覇に、松田国師のほおが緩む。新コースも追い風になった。「このコースになって良かったんじゃないですかね」。昨年まではトリッキーなコースとして、枠順が大きく左右した。99年2着フサイチエアデールは(8)枠(17)番、04年7着ダイワエルシエーロは(8)枠(18)番、05年シェルズレイも(8)枠(16)番と、不利な外枠に泣かされてきた。今回のダイワスカーレットも(8)枠(18)番だったが、女王の座を手にすることができた。「さすがダイワメジャーの下というのを、お見せできたと思う」と、喜びをストレートに表現した。
【ヤケ酒あかんで〜ウオッカ無念2着】 単勝1・4倍、圧倒的な1番人気に支持されたウオッカは、ダイワスカーレットのリベンジに遭い2着。桜の女王の座を逃した。 引き揚げてきた四位も、思わぬ2歳女王の姿に首をかしげる。「いつもなら、3角でゴーサインを出さなくてもいいぐらいの手応えなのに。きょうはいつもの走りではなかった」。一方、角居師は「きょうはダイワの方が強かった。前回と同じパターンに持ち込めたが、仕方がない」とサバサバとした表情で語った。 デビュー2戦目以来、2度目の敗北。連勝は「3」で止まり、女神はほほ笑えまなかった。ダービー挑戦のプランもあったが「これからのことは白紙です」。そう言い残すと、指揮官は競馬場を後にした。
【価値ある3着カタマチボタン】 関東馬最先着はカタマチボタン。藤田のこん身の左ムチに、好位から3着に食い込んだ。「ショウナンタレントの出遅れで遅くなると思ってあのポジションになったけど、思った以上に流れがゆったりになって」と藤田。3、4番手から懸命に末脚を伸ばし、3強の一角アストンマーチャンはかわしたが、上位2頭までは遠かった。「頑張っているけど、満足していない」。しかし、デビューからすべて千六を使われ〈2220〉。この経験をバネに、今後の成長が楽しみだ。 【直線で力尽く…マーチャン7着】 満開の桜が彩る、華やかなバックストレッチ。闘志を隠さないアストンマーチャンの姿を映すターフビジョンに、スタンドを埋め尽くす大観衆がわく。積極的な武豊のエスコートに応え、勝負どころから2番手をキープ。直線で一度は抜け出す勢いを見せたが、最後は力尽きて7着に沈んだ。 土曜に2勝を上乗せし、通算2900勝に王手をかけて挑んだ桜の舞台。偉業がお預けとなった武豊は、残念そうに振り返る。「今までで一番、テンションが高かった。ポジションは理想的だったけど、力んで走っていたからね。スプリンターの血が濃くなってきたかな」。先を急ぐハートと強烈なスピードが、結果として桜のヒロインの座を遠ざけた。石坂師も「仕方ない。いい状態で出走できたのが良かったよ。オークスに使わないことだけは確か。これから考えるよ」と無念の思いをにじませた。 【末脚不発15着エミーズスマイル】 地方競馬界の夢を乗せたエミーズスマイルは15着に散った。出脚こそひと息だったが、すぐに好位へ押し上げると、ウオッカの直後につける絶好の流れ。しかし直線に向いてから、自慢の末脚に一度も火はともらなかった。「雰囲気にのまれてしまって…集中力を欠いてました。本来ならもっとやれても」と内田博はガックリ。出川龍師も「バリバリのオープンとの違いなのかな」と、ぼう然。次はスイートピーS(29日・東京)でオークスの権利取りへ挑む。 |
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