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オークス(優駿牝馬)
デコルテ、樫の女王

2007/05/20・東京競馬場

▼ 第68回オークス
1着 
ローブデコルテ
福永
2.25.3
2着
ベッラレイラ
秋山
3着
ラブカーナ
菊沢
3/4
   
世界へ通じる勝利だ。5番人気のローブデコルテが鼻差で樫の女王に輝いた。レースレコードでGI初制覇。外国産馬としても、初のクラシック馬に輝いた。エスコートした福永は最近4年間で同レースを3勝、2着1回。オークス男ぶりを発揮した。次は海外遠征へ向かう予定で、英GIコロネーションS(6月22日・アスコット、芝千六百メートル)が有力。1番人気のベッラレイアが2着。8番人気のラブカーナが3着。

 

ゴール前、ベッラレイア(奥)とのデッドヒートを制したローブデコルテク

 

 


スリット写真、写真判定わずか9センチ差

 【世界進出へ弾み】

先に抜け出したベッラレイアに、ローブデコルテが猛然と襲いかかった。福永のこん身のムチに応え、一歩ずつ差を詰める。ほぼ同時に並んだところがゴール。写真判定に持ち込まれた。「かわしたと思ったけど、(首の)上げ下げだったんで」。差はわずかに9センチ。静かにダートコースから検量室へ引き揚げた福永は、戻ってくると右手でガッツポーズを作った。

「勝てた?良かったあ」と満面の笑みで前田幸治オーナー、松元茂師とガッチリと握手。全身からあふれ出す大きな喜び。4角手前でフタをされる形になり、ポジションは下がったが、外に持ち出すと再び盛り返した。「長くいい脚を使う馬なので」。持ち味をフルに発揮して、初のGIタイトル、樫の女王の座を手に入れた。

きゅう舎一丸の努力が実を結んだ。桜花賞で痛恨の出遅れ。不安を解消するために、連日のようにゲート練習を繰り返した。東京へ輸送する前日にも、福永がまたがって入念に行った。さらに、テンションを上げないように、普段、栗東の馬房で聞かせている音楽を出張馬房に持参。「効果があって、リラックスしていた。練習したおかげで、スタートもうまくいった」。努力は裏切らなかった。

外国産馬として初めてになるクラシックV。松元茂師にとってもクラシック初制覇だ。「本当にうれしいです」と素直に喜びを口にした。ダイワスカーレット、ウオッカが不参加。「2強を負かすつもりでやってきたが、秋に対決して結果を出したいと思っている」と、今度は桜花賞のリベンジを果たすつもりだ。


大観衆のスタンドに向かってガッツポーズを決める福永祐一

福永は04年、05年に続きオークス3勝目。現役では武豊と並ぶ最多タイとなった。公私ともに親しいユーイチでの勝利に、前田幸治オーナーも「人間性が好き。自分の馬で初めて重賞を勝ってくれた」と喜びはひとしお。オークスは03年スティルインラブに続く2勝目、GIは17勝目となるが、「今日ほどうれしいことはない」と表情を崩した。

次は海外遠征が控える。米GIアメリカンオークス(7月7日・ハリウッドパーク、芝二千メートル)も選択肢に挙げられているが、前田オーナーが「イギリスに行きます」と話しており、既に第1回登録を済ませている英GIコロネーションSが有力。日本の女王が競馬発祥の地で輝きを放つ。

 

【ベッラレイア悪夢、2着、秋山「運なかった」 】

“美しい大地の女神”に、勝利の女神は微笑まなかった。わずか9センチの差で夢を散らせたベッラレイア。普段はポーカーフェースの秋山も、検量室に引き揚げてきたときは険しい表情で「スムーズな競馬ができたんですけど…。勝った馬が一枚上でした」と肩を落とした。

おおかたの予想に反し、スタートは五分に出た。中団追走から直線は馬場の真ん中を突き進む。早めに先頭に立ち、そのまま押し切るかに見えたが、最後はローブデコルテの猛追に遭い2着に終わった。

平田師は「頑張ったんだけど、早めに1頭になっちゃったから…。併せ馬だったら負けてなかったと思う。でもほんのちょっと運がなかっただけ。メジロマックィーンでも負けることがあるんやから」。助手時代に、自らが担当したダイユウサクで負かした、有馬記念の大本命馬の名を挙げ、ベッラレイアの労をねぎらった。

このあとは放牧へ。秋山は「スタートが上手になって、レースに幅が出た。また頑張ります」と、秋への思いを胸に、東京競馬場を後にした。

【ラブカーナ、伸びきれず3着】

直線の大外。8番人気ラブカーナが、勝ち馬と馬体を並べるようにして追い上げる。内のベッラレイアを2頭でかわすかと思われたが…そこまでだった。残り50メートルで脚色が鈍り、3着まで。「最後は勢いが一緒に。そこから勝ち馬はまだ伸びた」。菊沢は唇をかんだ。「並び掛けるまでが精いっぱいだった。使い込んでいたし、仕方がない。また一から出直します」と中村均師。3着では賞金加算はない。立て直して秋を目指す。

【ザレマ、2番人気も10着】

2番人気に支持されたザレマだったが、直線で伸び切れず、10着に敗れた。鞍上の武豊も、96年エアグルーヴ以来のオークス制覇を狙ったが、残念な結果に終わった。大きく逃げたスマートストームに次ぐ好位集団につけ、道中はスムーズな走り。ところが直線で追いだしたものの…はじけなかった。武豊は「母の血が出たかな。もう少し短く流して行ける距離がいいね。二千メートルぐらいまでかな」と冷静に分析した。

 
ローブデコルテ…牝3歳。父コジーン、母カラーオブゴールド(母の父シーキングザゴールド)。馬主・前田幸治氏。生産地・米国。戦績・8戦3勝。重賞初勝利。総収得賞金・189、641、000円。松元茂樹調教師は初勝利、福永祐一騎手は04年ダイワエルシエーロ、05年シーザリオに続く3勝目。

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