安田記念 |
メジャーねじ伏せた!!
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香港馬4頭を迎えて行われた安田記念は、日本の大将格ダイワメジャーが力を誇示するような豪快な競馬でGI4勝目をマークした。いくつもの悪条件をはねのけてのV。さらに成長した姿を見せつけた。サンデーサイレンス産駒は同レース初制覇。これで22個ある平地GIのうち、20個を制した。春のマイル王は宝塚記念でメイショウサムソンと激突する。 | ||||||||||||||||||
【GI4勝目】 ▼さあ宝塚記念でサムソンと勝負だ 1歩、また1歩とにじり寄る。懸命に追う安藤勝の叱咤(しった)激励に応えて、ダイワメジャーが逃げるコンゴウリキシオーとの差を詰めていく。激しいデッドヒート。ラスト10メートルまで分からなかった勝負の行方、最後は力でねじ伏せた。着差はわずかに首だが、横綱相撲の完勝。日本短距離界のエースが、自身の強さを改めてアピールした。 勝負の分かれ目は、スタートしてから2F目だ。軽快に逃げるコンゴウリキシオーに香港から参戦したエイブルワンが掛かり気味に並びかけた。「楽に先頭へ立ったし、あのままスローな流れなら逃げ切られたかもしれないね」と安藤勝が振り返る。これによって全体のペースが上がり、メジャーの望む必勝パターンになった。「上がり3Fが34秒4。理想的な流れになった」。メジャーに勝利の女神が微笑んだ瞬間だった。 アンカツなくして今のメジャーはない、と言っても過言ではない。それほどこのコンビはマッチしている。最後の直線でもムチを使わず、手綱で愛馬の闘争心をかき立てた。普通ならムチを連打したくなる。メジャーがどうすれば走るか、を熟知しているからこそできる芸当。それだけ信頼関係は厚い。「自分自身で安心して乗れる」。まさに一心同体。GI4勝目はそんなところから生まれた。 上原師も力が入る一戦だった。ここ2年は8、4着に敗れていただけに、どうしても欲しかったタイトル。「6歳になったし、今年は絶対に獲りたいと思っていた」。さらにドバイ遠征帰り初戦。きゅう舎初の海外遠征明けとあって、頭を悩ませることもあった。「スタッフが1人骨折させられたからね」。帰国後、美浦への入きゅう初日だ。スタッフの足を踏んで軽い骨折をさせた。ヤンチャ坊主は海外からも変わらぬ姿で帰ってきた。そして、また結果を残した。 次は宝塚記念。昨年はディープインパクトの4着に敗れたが、今年は現役最多のGI4勝馬として臨む。「この馬は流れだけがポイント。瞬発力勝負にならなければ大丈夫だよ」とパートナーは自信をのぞかせる。勝ち鞍のない距離になるが、ゴールデンコンビの結束力があれば乗り越えられるはずだ。陣営が狙うのはズバリ年度代表馬の座。最大目標へ向けて、まずは今年の国内初戦で大きな一歩を踏み出した
【大城オーナー感激 】
3度目の挑戦で、安田記念初Vのダイワメジャー。大城敬三オーナーは満面の笑みで喜ん。「レースぶりが大人になってきましたね。この馬には頭が下がります。昨年は天皇賞も勝たせてくれたし、もう感謝のひと言です」と愛馬をねぎらった。また、生産者でもある社台ファームの吉田照哉代表は「ドバイではきょうみたいな出来になかったのかな。それにしても社台ファームは絶好調だね。メジャーの次は宝塚記念。外国へは行かない」と、こちらも笑いが止まらなかった。 【あとちょっと…リキシオー2着】 「ごめんなさい、先生!」。検量室前に引き揚げてきた藤田は、出迎えた山内師に叫んだ。勝利目前、コンゴウリキシオーは外から襲いかかったダイワメジャーにかわされた。首差の2着。悔しいのは当然だが、責任を果たした爽快(そうかい)感もあった。 小細工はいらない。レース前から腹は決まっていた。「自分の馬には(1分)32秒台の脚が使える。出遅れなければ勝てる」。前走のマイラーズCで、勝利への手応えはつかんでいた。好スタートを決めて、ゴール目がけて一直線。わずかの差で栄冠を逃したが、描いていた競馬はできた。 「相手はGIを何度も勝っているから。でもオレの馬も随分と力をつけているよ」。地力強化を示したパートナーの健闘を称えた。道中でエイブルワンに絡まれたシーンを振り返って、「オレが英語でもしゃべれたらよかったが。勉強するよ」と笑顔ものぞいた。 山内師も納得顔だった。「絡まれた分、しまいの粘りに響いた。逃げ馬の宿命。仕方がない」。今後は未定だが「ここまで走ってくれたから。疲れてないけど、ダートのマイルを使うわけにはいかないし、ひと息入れようかな」と充電を描く。自身2度目のマイルで見せた力。頂点奪取は秋に取っておく。 【流れ向かずフェニックス5着】 GI連覇ならず。1番人気に支持されたスズカフェニックス。後方待機から直線はしぶとく伸びてきたが、前々の決着で5着まで押し上げるのが精一杯。人気を裏切る結果となった。 「何でしょうね」と開口一番に首をかしげた武豊。「馬場が硬くて時計の速い競馬は向き不向きがあるからね。ボクの馬は切れ味勝負しかできない。状態はすごく良かったし、楽しみにしていたんだけど…」。昨日のユニコーンS制覇で勢いを取り戻したかに見えた名手だったが、波に乗り切れず、サバサバした口調で振り返るしかなかった。 「この馬の気性を考えたら、あの位置を取らざるをえない。(直線)来てはいるんだけど、流れが向いてくれなかった」。橋田師も無念の色がにじむ。夏場はひと息入れる予定で、秋は「スプリンターズSを含め状態を見ながら決めたい」と反撃を誓っていた。 【ジョリーダンス、また牝馬!!3着】 安田記念も(8)枠、しかもまた牝馬が波乱を呼んだ。9番人気のジョリーダンスがしぶとく3着に粘り込んだ。「前に乗った時に“いい馬だなあ”と思ってたけど、このメンバーに入ってもよく頑張ってくれました」と秋山。大外枠も苦にせず、スッと好位の5、6番手。力強く坂を駆け上がった。「流れが遅くなると思ったから気持ち早めに動こうと話していた。ジョッキーの好判断もあったね。だけど、上位2頭は強い」と堀師も納得の表情だった。 【ウィナー&エイブル、香港馬総崩れ】 チャンピオンズマイルの覇者エイブルワン、昨年3着のジョイフルウィナーの2頭出しで雪辱を期したムーア師だったが、ジョイフルは9着と伸び切れず、エイブルは掛かってしまい、12着に失速した。「前残りの競馬になってしまった。ジョイフルも残り400メートルぐらいから伸びてはいるんだけどね。きょうは展開が向かなかったよ。エイブルワンはもう少し後ろから行きたかったけど、外枠で掛かってしまった」。思わぬ結末に、香港のトップトレーナーは肩を落とした。
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