朝日杯FS

ゴスホーク2歳最強

2007/12/09 中山競馬場

▼第59回朝日杯FS
1着 ゴスホークケン 勝浦 1.33.5
2着 レッツゴーキリシマ 2 1/2
3着 キャプテントゥーレ 川田

またまた1勝馬だ。先週の阪神JFに続き、1勝馬で抽選をくぐり抜けてきたゴスホークケンが、鮮やかな逃走劇で初のGIタイトルをもぎ取った。米国・オカラのOBSマーチ・セレクトセールで、16万ドル(約1760万円)で取引された若駒が、遠く日本の地で大輪の花を咲かせた。勝浦にとっては、02年のNHKマイルC(テレグノシス)以来のGI2勝目。開業2年目の斎藤誠師はうれしいGI初勝利となった。

ゴスホークケン

2着にレッツゴーキリシマ(左から2頭目)、3着にキャプテントゥーレ(右)=中山競馬場

阪神JFに続きまた抽選の1勝馬が勝っちゃった

【鮮やか逃走劇】

すべての運がゴスホークケンに味方した。

抜群のスタートから何も競りかけてこない。前半3F34秒7と、逃げ馬には絶好のペースに落とし、4コーナーでも絶妙にリードをキープ。直線も最内の省エネコースをひた走り、先頭でゴール板を駆け抜けた。「ハナを切るつもりはなかったが、スタートが良く、スムーズに行けた。結果的に馬の能力を出すことができたね」と勝浦は満面の笑みを浮かべた。それは見るも鮮やかな逃走劇だった。

藤田オーナー

朝日杯FSを制したゴスホークケンの横で笑顔を見せる斎藤誠調教師(右から2人目)と藤田オーナー

レース前から強運ぶりは発揮されていた。1勝馬が出走するには、8分の1の抽選をくぐり抜けなければならなかった。枠順も絶好の(1)番を引き当てた。「よほど強運の持ち主」と斎藤誠師は目を見張る。強運はそれだけではなかった。東スポ杯2歳S出走時は左後肢に骨膜が出て、思うような調整ができなかった。しかし、美浦にポリトラック馬場ができると、脚元にやさしい馬場が救世主となった。その開場時期が11月16日。ゴスホークのために開場したと思えるぐらい、絶妙なタイミングだった。

ジョッキーの勝浦も強運の持ち主だ。本来なら、主戦の田中勝が乗る予定だったが、香港Cのシャドウゲイトに乗るため、急きょ出番が回ってきた。師は「敏感なところがあるので、当たりが柔らかい勝浦君が合うと思って依頼しました」と説明する。

しかし、勝浦は「ボクでいいのかなと思った。新馬を見てものすごい馬が出たなと思っていたが、まさかこの大舞台で自分が乗ることになるとは」と驚きの表情だった。自身のGI勝利は、02年のNHKマイルC(テレグノシス)以来2勝目。「皆さんに感謝しています」と、素直に喜びを表現した。

まだ開業2年目の斎藤誠厩舎。今春の皐月賞では、サンツェッペリンで鼻差2着と悔しい思いをした。同じ中山コース。今度はしっかりと念願のビッグタイトルを手に入れた。「ここまで出会った人に恵まれました。皆さんに感謝です」と師はしみじみ語った。寒風が吹き抜ける師走の中山競馬場。勝利の女神は斎藤誠師と勝浦、そして、将来性豊かなゴスホークケンに優しく微笑んだ。

藤田オーナーうれしいGI初星

マルターズ”の冠で知られる藤田与志男オーナー。これまでのGI最高着順は、朝日杯FSのアポインテッドデイ(02年)の3着だったが、うれしい初勝利となった。海外のトレーニングセールに自ら出向き、自分の目で選んで買うことが多く、ゴスホークケンもそうだった。「セールで10秒1の時計だったし、これは絶対だと思った」と振り返った。ちなみに名前の由来は“大鷹”を意味する“ゴスホーク”に加え、オーナーが犬好きということから“ケン”が付けられた。


2着レッツゴーキリシマ

【遠い2馬身半差】

なかなか差が詰まらない遠い2馬身半差だった。レッツゴーキリシマは銀メダル。逃げるゴスホークケンの後ろで折り合いに専念したが、勝ち馬よりも遅い上がりではお手上げだった。それでも幸は「マイペースで運ぶことができた。今日の課題は折り合いだったけど、クリアできたのは大きい」と笑顔を見せた。前走が前に壁をつくれず3着。折り合った姿に収穫を得たようだ。「これなら距離が延びても大丈夫。最後も伸びていたからね」と納得だった。



3着キャプテントゥーレ 集中力途切れた

「2番手に付けたかった…」―。3着に敗れたキャプテントゥーレ、川田は悔しさをにじませた。半馬身ほど遅れたスタートから仕掛けて3番手。しぶとく伸びたが、前をとらえることはできなかった。ゲート入りにてこずる馬がいて、思うようなポジションが取れなかった。「あそこで集中力が途切れた」。重賞を勝っていながらも4番人気。「見せ場はつくってくれたから」と次に期待を寄せていた。


5着スズジュピター 1番人気も無念

最終的に小差の1番人気に推されたスズジュピターは、掲示板確保の5着がやっと。中団で脚をためて、直線では馬群を割ってしぶとく伸びてきたが、気分良く進めた先行馬をとらえることはできなかった。「前残りの展開。それでも馬込みで上手に走っていたから。まだこれからの馬だよ」と柴田善は淡々と振り返った。差し馬では最先着。地力は見せており、クラシックでの巻き返しが期待される。


11着アポロドルチェ まさかの惨敗…

“不完全燃焼”とはまさにこのことだろう。2番人気のアポロドルチェは11着に惨敗、(7)枠(14)番の枠順が大きく影を落とした。「掲示板に載ったのはみんな(10)番より内。結果的に外枠がこたえましたね。力はあるんですが、どうにもならなかった」と後藤は淡々と話す。堀井師も「枠が出た時点でイヤな感じがした。いまは何も言えない」と話しただけで競馬場をあとにした。


ゴスホークケン…牡2歳。父バーンスタイン、母オールジウェイベイビー(母の父グランドスラム)。馬主・藤田与志男氏。生産者・米国。戦績・3戦2勝。重賞初勝利。総収得賞金・72、976、000円。斎藤誠調教師、勝浦正樹騎手ともに初勝利。

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