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高松宮記念
グレイン
短距離王
2008/3/30 中京競馬場
| ▼第35回高松宮記念 | |||
| 1着 | ファイングレイン | 幸 | 1.35.3 |
| 2着 | キンシャサノキセキ | 岩田 | クビ |
| 3着 | スズカフェニックス | 福永 | １ 1/4 |
スプリント界にニューヒーローが誕生した。幸騎乗の４番人気ファイングレインが中位追走から鮮やかに抜け出し、１分７秒１のレースレコードで快勝。一気の３連勝で頂点を極め、芝千二百メートルの成績を４戦４勝とした。首差２着はキンシャサノキセキで、フジキセキ産駒がワンツー。連覇を狙った１番人気のスズカフェニックスはスタートでつまずく不利があり、猛追も及ばず３着に敗れた。
鋭い決め脚で栄冠をもぎ取ったファイングレイン＝中京競馬場
芝千二負けなし！レースレコード！！
長浜師２１年目で初の古馬ＧＩ獲得「クラシック以上の喜び」
【末脚さく裂】
末脚さく裂 末脚には絶対の自信があった。勝負を決める４コーナー。幸の自信が“確信”に変わった瞬間、７番手を進んでいたファイングレインは猛然と先行勢に襲いかかった。残り百メートル、あとは「怖い存在だった」と振り返る岩田＆キンシャサノキセキを捕らえるだけ。馬体を寄せ、マッチレースに持ち込んだ。こん身の右ステッキが４発、５発と鋭く放たれる。最後は粘るライバルを首差かわして、栄光のゴールへと飛び込んだ。
０３年の牝馬３冠スティルインラブ以来となるＧⅠ制覇。殊勲の鞍上はさわやかな笑顔を振りまいた。 「やはり千二では切れが違う。４角では前の馬を全部かわせると思っていた。後ろにも差されないと思った」。実は「嫌だった」という（２）枠④番も、午前中の騎乗で“イン差し”が決まることを把握。「終わってみればすべてがうまくいった」。文句なしの完勝だった。
【名コンビ誕生】
賞金除外が続き、陣営が苦肉の策で今季初戦に使ったのが、新馬戦Ｖ以来となる千二百メートルの淀短距離Ｓ。幸は、きっちりＶへと導いた。ワンチャンスをモノにした。「いいときにいい馬に巡り会えた」。名コンビが誕生した瞬間だった。
出迎えた長浜師も満面の笑み。「２１年目で古馬のＧⅠは初めて。クラシック以上の喜び」とやや興奮気味に話した。０６年ＮＨＫマイルＣ（２着）後に右前種子骨の骨折が判明。競走生命を断たれかねないケガだった。不屈の闘志で克服し、ビッグタイトルを手にした愛馬に喜びもひとしおだ。
【破竹の３連勝】
破竹の３連勝で一気に頂点へ。さあ、次は受けて立つ立場となった。「負けないように勝っていきたい」と主戦は口元を引き締める。今後は「馬の様子を見てから」と長浜師は明言を避けたが、スプリンターズＳ（１０月５日・中山）を見据えたローテが有力。充実の５歳、軌道に乗ったフジキセキ産駒が新たな時代を築き上げる。
キンシャサノキセキ 無念首差２着
大きい首差だ。直線半ばで先頭に立ったキンシャサノキセキだったが、ゴール前でファイングレインの強襲にあって２着。重賞初制覇の夢は崩れ去った。岩田は「２アウト２ストライク３ボールまで追い詰めたが、バコーンって打たれた感じ」と悔しさをにじませる。そして「パワー、瞬発力などすべてがかみ合えば、ＧⅠを勝てるぐらいのいいものは持っている」と能力の高さを評価していた。
スズカフェニックス 痛恨の出遅れ
史上初の連覇の夢はかなわなかった。スズカフェニックスは猛追及ばず３着。スタートでつまずいたのがすべてだった。懸命に追い上げたものの、ラスト３Ｆ３２秒７の鬼脚を駆使しても届かなかった。「落馬するかと思った。本当は勝ち馬の位置で競馬したかった。チャンスをもらったのに残念です」と福永は肩を落とした。また、橋田師はサバサバとした表情で「伸びているけど、あそこまでが限界。安田記念までに１回使う予定です」と次の目標に気持ちを切り替えていた。
リシャール引退へ
【レース後、左前浅屈腱不全断裂判明】
７着に敗れたフサイチリシャールはレース後に左前浅屈腱不全断裂が判明。競走能力喪失となった。抑えきれないほどのスピードで直線はいったん先頭に立ったが、最後は内ラチへとモタれるように失速した。「残り１Ｆでつまずく感じになって止まった。今、思うとあそこでやったのかも…。かわいそうなことになってしまった」と川田は沈痛な表情で振り返った。今後は競走生活を引退し、種牡馬入りする予定だ。
ファイングレイン…牡５歳。父フジキセキ、母ミルグレイン（母の父ポリシュプレセデント）。馬主・（有）社台レースホース。生産者・北海道千歳市 社台ファーム。戦績・１５戦５勝。重賞・０８年シルクロードＳに続き２勝目。総収得賞金・２５４、７００、０００円。長浜博之調教師、幸英明騎手ともに初勝利。
