NHKマイルC

3歳マイル王スカイ 
さあダービーで“変則2冠だ”

2008/5/11 東京競馬場

▼第13回NHKマイルC
1着 ディープスカイ 四位

1:34.2
2着 ブラックシェル 後藤 1 3/4
3着 ダノンゴーゴー 藤岡 1 3/4

ここ一本に絞った陣営の戦略が実った。1番人気のディープスカイが後方待機策から直線でインを突いて鋭伸、四位のムチに応えて鮮やかに差し切った。今後はダービー(6月1日・東京)での“変則2冠”達成を視野に入れていく。見せ場十分の2着だったブラックシェルもダービーへ参戦。武豊ファリダットは外から追い込むも5着まで、逃げた2歳王者のゴスホークケンは12着に敗れた。

ディープスカイ

直線で抜け出しNHKマイルCを制したディープスカイ(右端、右から2頭目は2着・ブラックシェル)=東京競馬場

Vローテ実った!末脚弾けた!!

昆師中央G1初制覇


 府中の最後の直線、ラスト1F。陣営の“雪辱”にかける熱い思いを知っていたかのように、ディープスカイは力強くはじけた。昆師は昨年、1番人気ローレルゲレイロで半馬身差の2着に惜敗。四位も先週の天皇賞・春(アサクサキングス)を1番人気で3着に敗れ、唇をかんだ。それらすべての思いを抱え込み、歓喜のゴールへ飛び込んだ。

 馬場が荒れているインを嫌い、各馬が一斉に外をまくりに行った4コーナー。その瞬間を鞍上は待っていた。「みんな外を狙うと思っていた。僕が通ったところは(馬場が)悪くなっていない。狙っていたが、その通りになった」。コースロスなく、末脚を存分に発揮。追い比べになれば負けることはない。「ワクワクしながら追い出した」と手応えは十分だった。1週間遅れの、G1制覇。「(深見敏男)オーナー、トレーナーがここ一本に絞っていた。スタッフも一生懸命に仕上げてくれた。上位人気で結果を出せて良かった」と白い歯がこぼれた。

 昆師は00年の開業以来、12度目の挑戦でJRA・G1初制覇。「実感がまだわかない」とやや放心状態だったが、強い信念を貫き手にした初タイトル。喜びはひとしおだ。ローレルゲレイロで得た教訓を生かし、毎日杯快勝後はスカイの体力の消耗度を最優先に考えた。出した答えは“皐月賞パス”。「周りからいろいろ言われたが、これで自分のやったことが正しかったな、と」。狙い通りの結果に安どの表情を浮かべた。

 これからはG1ホースとして挑戦を受けて立つ立場となる。注目の次走について、指揮官は以前から思い描いていたプランを打ち明けた。「皐月賞をパスした時点で、NHKマイルCからダービーのローテは考えていた。個人的な判断だが、きょうの内容ならダービーへ行ってもいいかな」と“変則2冠”獲りを示唆した。これには四位も「距離はまだ未知の世界だが、折り合いの心配はないからね。有力馬の1頭になると思う」と前向き。口調も滑らかに「僕自身も今年は乗り馬がいないんで(笑い)」と周囲を笑いの渦に包んだ。

 今年の牡馬クラシック戦線は主役不在。この日の勝利で一気に注目を集める存在となった。距離延長がカギを握るが、2冠制覇への“燃料”は残っている。夢舞台へのフライト、視界は良好だ。
        

ディープスカイ


歓喜の後に思わぬハプニング

@四位バンザ〜イ    Aスカイ大暴れ〜    B四位あらら落馬    C右手をねんざ…    D12R乗り代わり

 ディープスカイとともに引き揚げてきた地下の検量室前で、喜びを爆発させた四位に思わぬハプニングが起きた。大勢の関係者の出迎えに両手を上げてアピールした時に、驚いた馬が暴れて振り落とされるアクシデント。何とか痛みをこらえて表彰式、勝利者インタビューには出席したが、右手関節ねんざと診断され、12Rで騎乗予定だったリオサンバシチーは大事を取って後藤に乗り代わった。


ブラックシェル  父子制覇の夢かなわず

 01年の父クロフネに続く父子制覇を狙ったブラックシェルは惜しくも銀メダル。「ゆったりした流れで追走は楽。もうちょっとだったけど、勝ち馬にあの脚を使われては仕方ない」と後藤は悔しさの中にも納得した表情。松田国師は「冬場は絞り切れなかったが、使いながらいい体になってますね。もちろんダービーへ行きます」とモンテクリスエスとの2頭出しを明言した。

ダノンゴーゴー  距離不安一掃の3着

 最後方から一気の末脚。14番人気と評価を落としながらも、ダノンゴーゴーは3着まで追い込み地力の高さをアピールした。「折り合いがついたのが良かったですね。追い出したときには“オッ”と思ったけど、前の馬も楽だったから…。良馬場ならもっと切れたと思います」と藤岡佑は残念そう。「この距離をこなせれば、今後の選択肢が広がるね」とは橋口師。次走は未定だが、今後も目が離せない存在になりそうだ。

ファリダット  直線伸び切れず

 2番人気のファリダットは直線で伸び切れず5着。武豊は「折り合いは付いたけど、道中は外々に逃げていた。それだけに外枠もこたえた」とレースを振り返った。松元師は「コース取りの差が大きかった。まだまだこれからの馬。悲観するような内容じゃなかったと思う」とサバサバした表情。最終レースでは管理するケアレスウィスパーが勝利して「ひとレース遅かったな」と苦笑いしていた。

牡3歳。父アグネスタキオン、母アビ(母の父チーフズクラウン)。馬主・深見敏男氏。生産者・北海道浦河 笠松牧場。戦績・10戦3勝。重賞・08年毎日杯に続いて2勝目。総収得賞金161、536、000円。昆貢調教師、四位洋文騎手ともに初勝利。

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