2009/10/18 京都競馬場
▼第14回秋華賞 | |||
1着 | レッドディザイア | 四位洋文 | 1.58.02 |
2着 | ブロードストリート | 藤田伸二 | 1 1/4 |
3着 | ブエナビスタ | 安藤勝己 | 降着 |
雪辱Vか、3冠達成か。桜花賞、オークスに続いて火花を散らした“2強”の叩き合いは、レッドディザイアに軍配が上がった。悲願の1冠奪取は、松永幹師にとって初G1制覇。今後はエリザベス女王杯(11月15日・京都)を目標に調整される。2位入線のブエナビスタは4角の斜行により3着に降着。G1での降着は06年エリザベス女王杯のカワカミプリンセス以来7度目。史上3頭目の牝馬3冠は夢に終わった。2着には3位入線のブロードストリートが繰り上がった。
入線後、互いに勝利を確信できず安藤勝(右)と四位は笑みを浮かべた
【「力抜けた」松永幹師初G1に涙】
執念でねじ伏せた。栄冠が見えた瞬間、襲いかかるライバル。し烈な追い比べだった。残り200メートルで先に抜け出した、レッドディザイア。そのあとを馬群を縫うように追い込む2冠馬。春のクラシックで明暗を分けた2頭が、鼻づらを合わせてゴールを突き抜けた。
残ったのか、かわしたのか―。勝利の女神はディザイアにほほえんだ。長い写真判定が終わった瞬間だ。松永幹師はガッツポーズで喜びを爆発させた。春のG1は連続2着。桜花賞は半馬身、オークスでは鼻差届かなかった。今度は鼻差で前に出た。「力が抜けたみたい。うれしいですね」。目にうっすらと涙を浮かべて、初めてのG1タイトルの味をかみしめた。
雪辱を果たしたい。陣営のこん身の仕上げに応えたい。主戦の四位も会心のエスコートだった。「強気に攻めるつもりだった。それに馬が応えてくれた。思い切って乗りました。ゴールしたあとは、安藤さんとも“どっちかな”と話していた。良かったです」とホッとした表情を見せた。
始動戦のローズSでは2着に敗れた。新たなライバルの出現に、2冠馬の存在。前走後、雪辱を胸にハードな調教で攻めに攻めた。「こんなことを言ったら変だけど、トライアルを負けて良かった。負けたからしっかりとやれた。もし、あの仕上げで勝っていたら、ここまでやらなかった。今回も軽く(ブエナビスタに)やられていた。馬もしんどかったと思う」。調教方法の変更には勇気もいる。その決断が3冠を阻むVにつながった。
トップジョッキーから転身し、厩舎開業3年目でつかんだ初のビッグタイトルだ。「ジョッキーの名前が使えるのも開業して5年間だけ」。ある関係者に、松永幹師はこう言われたという。「調教師に次はない。それだけに、この馬の存在は大きい」。騎手時代と変わらない、ミッキースマイルで愛馬をねぎらう。
次走はエリザベス女王杯を予定している。「ブエナビスタが使うレースに使いたい。もう1回勝って並ばないと、3歳のチャンピオンにはなれない」と指揮官は口元を強く結ぶ。やっとつかんだ女王のタイトル。今度は最強牝馬へ―。頂点の座はもう誰にも譲らない。
4コーナー手前、ブエナビスタ(3番)が斜行しブロードストリート(左)が不利を受けた
【東京ホースレーシング】
西川氏喜び爆発 馬主である(株)東京ホースレーシングはG1初制覇。これまではNHKマイルC(レッドスパーダ)と、桜花賞、オークスでの2着が最高だった。現役プロゴルファーで、同クラブ法人の代表取締役を務める西川哲氏(41)は喜びを爆発。「一瞬、オークスの悪夢が頭をよぎったけど、今回は勝っていると信じていた。雪辱を果たせて良かった」と会心の笑みを見せた。
「外枠だったし動いて行った。内枠なら3、4着はあったかも。やはり力は持っている」(福永)
「坂の下りではやれると思ったぐらい。しまいも伸びたし、今後の選択肢が広がった」(藤岡佑)
「4角の脚はすごかった。できれば内枠がほしかった」(小牧)
「勝ち馬と同じ位置にいましたけど、瞬発力の差が出た。でも少しずつ力をつけています」(幸)
「外枠は不利ですね。まだこれからの馬だし素質はありますよ」(秋山)
「折り合いはつきましたが、このメンバーで二千は長いのかな」(三浦)
レッドディザイア…牝3歳。父マンハッタンカフェ、母グレイトサンライズ(母の父カーリアン)。馬主・(株)東京ホースレーシング。生産者・北海道千歳市 社台ファーム。戦績・6戦3勝。重賞初勝利。総収得賞金・232、434、000円。松永幹夫調教師、四位洋文騎手ともに初勝利。