2009/11/22 京都競馬場
▼第26回マイルCS | |||
1着 | カンパニー | 横山典弘 | 1:33.2 |
2着 | マイネルファルケ | 和田竜二 | 1 1/4 |
3着 | サプレザ | O.ペリエ | クビ |
引退の花道を見事に飾った。横山典に導かれ、直線、馬群を割って鋭く抜け出した8歳馬カンパニーが快勝。秋の天皇賞に続き、G1を連覇した。1番人気馬のVは、この秋、G1・6戦目で初めてのこと。ラスト走をきっちりと締めくくった。2着には逃げ残った14番人気のマイネルファルケ、3着にはフランスから参戦、2番人気に支持されたサプレザが入った。
G1連覇で有終の美を飾ったカンパニー
引退を惜しむ涙雨を背に受け、歓喜のゴール板を突き抜けた。8歳馬カンパニーが有終V。花道を見事に飾った。
長い競走生活の集大成だ。スタートが苦手だったのも今や昔のこと。発馬を決めると、中団で脚をためた。ウオッカを封じ込めた瞬発力は、この日も健在。「不利さえなければ、と思っていた。あわてることなく運んだ」。横山典とのコンビは12戦目。呼吸を合わせ、絶妙のタイミングで放つ鞍上のゴーサインに鋭く反応。G12連勝でラストランを締めた。
同時に区切りとなる年間100勝のメモリアルVを達成した主戦は、何度も人さし指で“1”を表現。1着、そして現役最強馬をアピールした。「ホッとした。今まで乗ったなかで一番出来がいいと感じたので、自信を持って乗ることができた。素晴らしい形で締めくくることができた」。G1では4、5着が指定席だった苦しい時期をひたすら耐えた。長いトンネルを抜けた人馬は、つかんだ栄光をかみしめた。
引退レースだからといって、手は抜けない。陣営もこん身の仕上げで臨んだ。「最後だと思って必死に仕上げた。それに馬が応えてくれた。格好良く終わることができて良かった」と、音無師は安堵(あんど)の表情を浮かべた。
引き上げてきた鞍上にかけたトレーナーの言葉は感謝の“ありがとう”だった。「彼は“ありがとうございます”と言ったけど、完ぺきに乗った満足感があったんじゃないかと思う。うまく乗ってくれた」。それまでの後方一気から、自在性ある脚質に転換したのも横山典。最高の形でVへと導いた主戦をたたえた。
主役の座をつかむまでに6年間もかかった。ディープインパクト、ダイワメジャーなど、歴代のスターホースの強さも知っている。この秋は3戦負け知らず、G12連勝。遅咲きのヒーローは今がまさに充実期なのだ。「これからも種牡馬として、強い2世をつくってくれることを願っています」。26日に北海道安平町の社台スタリオンステーションへと出発する愛馬を、指揮官は笑顔で送り出す。8歳馬の“早い”引退―。長い競走馬のシナリオは、ハッピーエンドで幕を閉じた。
抱擁をかわす近藤英子オーナーと夫の利一氏
【オーナー愛馬の引退に感慨深げ】
近藤英子オーナー(67)は表彰式で夫の利一氏と抱擁をかわし、2つ目のG1勝ちの喜びに浸った。「天皇賞とは違った喜びがありますね。強い競馬だったけど、年齢的なこともありますから」と愛馬の引退に感慨深げな表情を浮かべる。父ミラクルアドマイヤも自身が所有。「(カンパニーも)自分の繁殖牝馬につけたい」と、“3代目”の誕生を心待ちにしていた。
先週のエリザベス女王杯に続き、今週も逃げ馬が大波乱を演出。14番人気の伏兵マイネルファルケが、経済コースを利して2着に踏ん張った。
強力な先行勢は不在…作戦は決まっていた。(13)番枠からスタート良く飛び出すと、内のキャプテントゥーレを制してハナへ。「行く馬がいないし、(主に手綱を取っていた)松岡も行った方がいいと言っていた」と和田に迷いはなかった。2番手を引き離してペースを握るも前半3Fは34秒8。G1としては緩やかな流れで、ラストにかける体力は残っていた。
最後の直線。ラチ沿いを力いっぱいに駆ける。ゴール寸前でカンパニーの強襲に屈したが、サプレザの追撃を首差しのいだ。「3角の坂も制御して走れていた。仕掛けてからはオッと思ったが、勝ち馬が強かったね。自分のペースならしぶとい。レースは上手ですよ」と、その粘りをたたえる。メキメキと力をつけた4歳馬。楽しみな個性派が誕生した。
キャプテントゥーレは見せ場十分の4着。直線では先頭に立つ勢いだったが、あとひと押しが利かなかった。川田は「直線で馬場のいいところに出すという指示。最後は(外に)少し出し過ぎた感もあったが、(内に)戻すよりはと思った」と悔しがった。それでも、天皇賞・秋12着からの巻き返しに「内容は悪くなかったし、スムーズならこれくらいは走れる」と力を再認識していた。
今回もG1の壁は打ち破れなかった。スマイルジャック&三浦コンビは6着。道中は折り合いに専念し、最後は馬群を縫うように伸びてきたが、上位勢をとらえることはできなかった。三浦は「前があいていれば勝負になっていた。マイルが一番合うとわかりましたね。まだ課題は残るが、折り合い面は良くなっている」と、悔しい表情を浮かべながらも今後への手応えをつかんでいた。
世界を飛び回るスーパーウーマンも、日本の高速馬場に苦しんだ。伊G1を制した勢いを駆って淀へ乗り込んだ英国馬エヴァズリクエストは10着。4角では前を射程圏にとらえる位置だったが、最後は馬群に飲み込まれた。「スタートが良く、いいポジションで競馬ができた。彼女自身はよく走っている」と10年ぶりに来日したムンロは愛馬をねぎらった。
カンパニー… 牡8歳。父ミラクルアドマイヤ、母ブリリアントベリー(母の父ノーザンテースト)。馬主・近藤英子氏。生産者・北海道安平町 ノーザンファーム。戦績・35戦12勝。重賞・05年京阪杯、06年大阪杯、07年関屋記念、08年中山記念、マイラーズC、09年中山記念、毎日王冠、天皇賞・秋に続き9勝目。総収得賞金・939、698、000円。音無秀孝調教師は初勝利、横山典弘騎手は95年トロットサンダー、97年タイキシャトルに続き3勝目。