2009/3/29 中京競馬場
▼第39回 高松宮記念・GI | |||
1着 | ローレルゲレイロ | 藤田伸二 | 1:08.0 |
2着 | スリープレスナイト | 上村洋行 | 1/2 |
3着 | ソルジャーズソング | 北村友一 | 1 1/4 |
ローレルゲレイロが9回目のG1挑戦で悲願の初V。昨年の最優秀短距離馬、スリープレスナイトとの叩き合いを見事に制し、00年キングヘイローとの父子制覇を達成した。藤田は高松宮記念3勝目。次の目標は安田記念(6月7日・東京)になる模様で、海外遠征も視野に入っている。3着には15番人気のソルジャーズソングが入り、3連単は19万1140円の高配当となった。
ファンの声援にガッツポーズで応える藤田
根性で勝利をもぎ取った。押し切りを図るローレルゲレイロに、スリープレスナイトが猛追。いったんはかわされたが、闘志は衰えなかった。再び盛り返すと、半馬身抜け出してゴール。待ちに待ったG1タイトルを手にした。藤田は右手で力強くガッツポーズ。以前からスプリント路線を陣営に進言していた。「駄目かと思ったけど、脚は残っていたんで。最後は頑張ってくれた」とパートナーの労をねぎらった。
狙い通りの勝利に、昆師も「最高ですね」と満面の笑みを浮かべた。2年連続の挑戦だが、急きょ参戦した昨年とは違い、照準を定めて調整を行ってきた。昨年12月に香港スプリントを使ったことも、今回への布石だった。「4角から一瞬にして来るようなハードなレース。経験したのは大きかった」。8着に敗れはしたが収穫はあった。
帰国したあとに調教パターンを変更。以前は栗東坂路で1番時計を連発していたが、阪急杯からは直前で無理に時計を出さないように心掛けた。「競馬で爆発させるような調教をした。雰囲気も落ち着いていて、ちょうどいい感じだった」と手応えをつかんでいた。普段ためていたエネルギーを本番で一気に吐き出したのだ。
ダービー後は疲労がなかなか抜けず、昨年の高松宮記念後にも右トウ骨を骨折したが、けた外れの心肺能力と肉体、それと強い精神力で、厳しい試練を乗り越えてきた。薬はほとんど使わず、傷腫れがあったときにつける程度。海外遠征でも環境に動じない。「骨折をしたときの治りはすごく早かった。回復力は驚異的。10年に1頭当たるか。いつも元気。珍しいタイプ」とトレーナーは舌を巻く。
今後については「恥ずかしくないローテにしたい。安田記念?行くところはそこしかないですね。ディープスカイとやらせたくはないが…」と苦笑いを浮かべた。大阪杯で復帰する変則2冠馬の後輩と、同門対決が実現する可能性は高い。さらには、一緒に海外遠征するプランも視野に入っている。「そういう機会があれば行ってみたい」と意欲をのぞかせた。大きな勲章を手にしたローレルゲレイロ。夢はどんどん膨らんでいく。
スリープレスナイト(左)の追撃を振り切ったローレルゲレイロ
さすがG1馬。底力は示した。残り百メートル地点でいったん先頭に立ったスリープレスナイトだったが、勝ち馬に差し返されて2着に敗れた。「完ぺきでした。半馬身出ているし勝ちパターンだったけど…。もうちょっとのところで止まった。勝ちたかったけど、よく走っている」と上村は相棒をねぎらった。一頓挫明けだけに橋口師も納得の表情。「大健闘。実力は十分に示した。病み上がりだったからね。負けはしたけどすがすがしい」と胸を張って競馬場をあとにした。
賞金上位馬が回避し、ギリギリでゲートインにこぎ着けたソルジャーズソングが3着に激走。15番人気の伏兵が3連単19万馬券を演出した。中団の内々をロスなく追走。直線で外へ持ち出す際に2頭の走行に影響を及ぼし審議の対象(北村友は過怠金1万円)となったが、ゴール前で鋭い末脚と根性を発揮してみせた。北村友は「いい枠を引けたのが大きい。手応えは十分だったし、最後もいい脚を見せてくれたね」と内枠(2)番を好走の要因に挙げた。
ローレルゲレイロ…牡5歳。父キングヘイロー、母ビッグテンビー(母の父テンビー)。馬主・(株)ローレルレーシング。生産者・新冠町 村田牧場。戦績・23戦4勝(うち海外1戦0勝)。重賞・08年東京新聞杯、阪急杯に続き3勝目。総収得賞金・383、994、000円(うち海外0円)。昆貢調教師は初勝利、藤田伸二騎手は99年マサラッキ、02年ショウナンカンプに続き3勝目。