2009/5/17 東京競馬場
▼第4回ヴィクトリアマイル | |||
1着 | ウオッカ | 武豊 | 1:32.4 |
2着 | ブラボーデイジー | 生野賢一 | 7 |
3着 | ショウナンラノビア | 柴田善臣 | 1 |
単勝1・7倍の1番人気に支持されたウオッカが7馬身差で圧勝。牝馬としてはメジロドーベルに並ぶG1・5勝目。また、牝馬の高額賞金ランク(JRAのみ)では、エアグルーヴを抜いてトップに立った。年内引退が発表され、これから名牝のシナリオがさらに深く刻まれていく。2着は11番人気ブラボーデイジー。3着には7番人気ショウナンラノビアが入り、3連単は8万580円の波乱となった。
7馬身差の圧勝!ウオッカはまさに一人旅
負けるわけにはいかなかった。ウオッカが7馬身差の圧勝。強い向かい風のなか、ドバイの敗戦と昨年2着のうっぷんをまとめて吹き飛ばした。
武豊がゴーサインを送ったのは直線で先頭に立ってから。ギアを入れると一瞬で後続を突き放し、まるで次元が違うと言わんばかり。余裕たっぷりにG1・5勝目のゴール板を突き抜けた。「ウオッカらしい競馬ができた。勝たなくてはならないレースだったからね」。牝馬G1完全Vを決め、連続G1制覇を22年に延ばしたユタカは安どの表情を浮かべた。
好調を伝える信号はレース前から鞍上の五感に響いていた。「今まで乗ったなかで一番いいと思った。ゆっくり歩いていて“いよいよここまできたか”と思った」。走りと気持ちのバランスが取れるようになった5歳牝馬に「牝馬の枠を超えた馬。まだまだいきますよ」と頼もしそうにした。
年度代表馬として日の丸を背負い、挑んだ今年のドバイ遠征は思うような結果を残せなかった。特にドバイデューティフリーは直線で大失速。誰もが首をかしげる負け方だった。「今のこの瞬間、この馬にかなう馬が世界にいると思う?何で勝てなかったの?って感じ。きょうの走りを前回もしてくれていたら…」。もう一度、海外でやり返したい。強さを誇示した本来の姿がユタカの胸に複雑な思いを残す。
海外遠征帰りでも角居師は自信を持って送り出した。「ますます競馬が上手になっている。環境にも左右されなくなりましたから。雨は降っていたけど、水割りにならなかったので」と愛馬の成長ぶりを表現した。
来年はウオッカの走りを見られない。「年内で最後だと思います」。谷水オーナーの口から今年一杯の引退、繁殖入りが発表された。トレーナーは「牝馬として大事な仕事ですからね。今年一年、頑張ってもらいたい」と話した。
次は安田記念(6月7日・東京)へ。宝塚記念の参戦はそのあとオーナーと協議される。年内引退の知らせを受けた武豊は「来年、ドバイに行きたかったけどね。今年は連戦連勝といきたい」と力強くこぶしを握る。花道へと勝ち進むだけ。進化を遂げたスーパーヒロインが格の違いを見せ続ける。
ガッツポーズの(左から)谷水オーナー、角居師、武豊
G1の舞台で大仕事をやってのけた。11番人気のブラボーデイジーが、好位からしぶとく伸びて2着。ウオッカからは離されたものの、伸び盛りの4歳馬が成長ぶりを示した。生野は「道中は楽に追走できたし、坂も気にせずよく伸びてくれた」と内容を評価。音無師も「前走がダテではないことを証明してくれた。シンデレラガールだね」と笑顔が絶えなかった。
道中はウオッカを見るような位置から進んだ3番人気リトルアマポーラだったが、直線で思うような伸びがなく6着に敗れた。福永は「ウオッカは別にして、最低でも2着はないと」と納得がいかない表情。「上手に走っていたけど、結果的にもう少し距離があった方がいいかもしれない。中距離がベストかな」と敗因を分析。マイルの高速決着にお手上げだった。
久々の勝利には、今度も手が届かなかった。2番人気カワカミプリンセスは直線で伸びを欠いて8着。横山典は「出来は良かったし、不安なところはなかった。ただ、ここまで負けるとは…。きょうは勝った馬を褒めるべき」とウオッカに脱帽といった様子。西浦師は「距離しか考えられないね」と久々のマイル戦を敗因に挙げた。今後は放牧へ出され秋に備える。
牝5歳。父タニノギムレット、母タニノシスター(母の父ルション)。馬主・谷水雄三氏。生産者・新ひだか町 カントリー牧場。戦績・21戦8勝(うち海外3戦0勝)。重賞・06年阪神JF、07年チューリップ賞、東京優駿、08年安田記念、天皇賞・秋に続き6勝目。総収得賞金・916、089、800円(うち海外28、689、800円)。角居勝彦調教師、武豊騎手ともに初勝利。