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フェブラリーS・G1

エスポ

国内無敵

2010/2/21 東京競馬場

▼フェブラリーS
1着 エスポワールシチー 佐藤哲  
2着 テスタマッタ 岩田 2 1/2
3着 サクセスブロッケン 内田博 3 1/2

 日本の最強ダート馬が世界へ猛アピールだ。2番手から抜け出したエスポワールシチーが、2馬身半差の圧勝で圧倒的な1番人気に応えた。ダートで唯一連対を外した昨年の借りを返し、中央、地方合わせてG1・4連勝を達成。陣営は明言を避けたが、招待を受けているドバイ・ワールドC・G1(3月27日・UAEメイダン、オールウェザー2000メートル)へ夢が膨らむ。2着はテスタマッタ、史上初の連覇を狙った内田博騎乗のサクセスブロッケンは3着に終わった。

フェブラリーSをエスポワールシチーで制しガッツポーズを決める佐藤哲

フェブラリーSをエスポワールシチーで制しガッツポーズを決める佐藤哲

 

ダートで唯一連対外した昨年のリベンジ

ライバルは世界にいる

 

【G1・4連勝】

 

 力でねじ伏せた。楽な手応えで直線に入り、エスポワールシチーは早々と先頭へ。佐藤哲のアクションに一瞬でリードを奪うと、あとはゴール板を通過するのを待つのみ。昨年の最優秀ダート馬が、横綱相撲で改めて国内最強を証明した。


16年連続のJRA重賞Vを決めた主戦は「(後ろから)どれだけ来るかなと思ったけど、かわされるとは思わなかった」とワンサイドVに胸を張る。
 秋初戦のセントウルSは失速して14着に惨敗。その後も体重が戻り切らず、この日もさらにマイナス4キロ。万全の状態ではなかった。藤田は「半分、信用し切れていなかった。疑ってすいません」とパートナーの頑張りをたたえた。昆師は「最終追い切りで気持ちが入った。気持ちで走るタイプ。G1馬の意地ですかね」と笑顔を見せた。

 

 不安はあった。1年ぶりとなる芝からのスタート。4着だった昨年はスムーズではなかった。今年は芝に主戦場を置く快速馬も参戦。細心の注意を払いながら、ゲートが開く瞬間を待った。「スタートを中心として組み立てた。思い通りに反応してくれて良かった」。テーマをクリアすると、逃げるローレルゲレイロを見ながら、自分の競馬を貫くだけ。「エスポくん、すごいなと」と相棒を手放しで称賛した。


 安達師も感無量だ。JCダートから2カ月半ぶりの実戦。前走から4キロ減の馬体には「減っていたけど、おなか回りはすっきりしていて、大丈夫だなと思っていた」と語る。レースも理想通り。「ゲートが開いてみないと分からなかったが、ジョッキーに任せていた。結構長くいい脚を使えるので、いい感じだなあと。最後までよく頑張った」と笑顔がはじけた。

 

 

 

G1・4連勝へ導き、JRA重賞40勝目となった馬上の佐藤哲

G1・4連勝へ導き、JRA重賞40勝目となった馬上の佐藤哲

 


【オーナーしびれた】

 

「本当に強い」 (株)友駿ホースクラブ愛馬会の塩入満洋代表(54)もエスポワールの強さにしびれた。「きょうは本当に強いと感じた。去年(4着)の雪辱ができてうれしい」と募集価格1200万(500口)の馬がG1・4連勝を飾り、満面の笑み。ドバイ遠征については「オールウェザーに一抹の不安もある。馬の状態を見て、調教師と相談して決めたい」と話すにとどまった。

 

 

【砂転向で開花】

 1歳時に牧場で初めて見て、トレーナーは「いい馬だな」と好印象を持ったという。当初は管理する予定ではなかったが、縁があって手がけることになった。初勝利まで6戦を要したが、8戦目からダートに転じると、出世街道をまっしぐら。期待を大きく上回る活躍で瞬く間に不動の地位を築いた。「ビックリですね」と驚きを隠さない。

 

 今後について陣営は明言しなかったが、招待を受けたドバイWCに向けても、大きな期待を抱かせる完勝劇だった。舞台はオールウェザー。師は「栗東DPをこなしているので大丈夫だと思う。オーナーがOKを出してくれれば行きたい」と前向き。調教での感触を知る、佐藤哲も「すごくいいですよ。決まれば楽しみ」と胸を躍らせた。
 もはや国内に敵はいない。日の丸を背負ったエスポワールのライバルは世界だ。G1・4連勝を決めた府中を越えて、夢はまだまだ続いていく。

 

 

 

 

サクセスブロッケン

ブロッケン連覇夢散

3着 サクセスブロッケン

【ウチパク1頭入魂実らず】


 “1頭入魂”も夢は逃した。昨年の覇者サクセスブロッケン=は3着。好位追走から最後の直線でエスポワールシチーを捕らえにいったが、逆に突き放され、最後はテスタマッタにもかわされた。「負けても2着はあると思っていたけど、力は出し切っていると思う。勝った馬も2着の馬も強かったよ」。内田博は上位2頭をたたえる。


 1月11日の中山4Rでの落馬事故で、左尺骨近位骨幹部骨折のアクシデント。20日までの騎乗をすべてキャンセルし、この日も騎乗はG1の1鞍だけに絞った。直線では左腕で手綱をしごき、右腕でステッキを連打。必死の追撃も、史上初の連覇には届かなかった。


 藤原英師は「相手はエスポワール1頭だと思っていた。2着を取りに行っていたら、2着はあっただろうけど。でも、勝ち馬は強かったよ。きょうは完敗だった」とライバルの強さを認めた。このあとは内田博とのコンビで、招待を受けているゴドルフィン・マイル・G2(3月27日・メイダン、オールウェザー1600メートル)へ。世界の舞台でリベンジを誓った。


7着 ゲレイロ

 

 スピードの違いを見せたローレルゲレイロだったが、ラストは脚が上がり7着。藤田は「やっぱり1200メートルの馬だね。マイルはしんどい。でも思ったよりもダートの走りは良かった」とパートナーの健闘をたたえる。「招待をされれば、ドバイ・ゴールデン・シャヒーン(3月27日・メイダン、オールウェザー1200メートル)に行きたい」と昆師。招待されなければ高松宮記念(3月28日・中京)へ向かう公算が大きい

 


10着 リーチ  

12着スパーダ  

 

 転戦組は惨敗 砂の頂上決戦は甘くなかった。芝からの転戦組は完全に沈黙。リーチザクラウンとレッドスパーダは10、12着に敗れた。中位の外めを運んだリーチに、武豊は「ダートは大丈夫。ただ(ずっと)長い距離を使っていたので馬が戸惑った」と振り返る。好位から不発のスパーダは「夢を見たのは4角まで。直線では“こりゃ駄目だ”と思った」と横山典。名手2人は勝者の強さにも触れ、横山典が「父のゴールドアリュールよりも速い。どんな競馬もできる」と言えば、武豊は「ドバイでもいい勝負をするんじゃないかな」と絶賛していた。





エスポワールシチー 牡5歳。父ゴールドアリュール、母エミネントシチー(母の父ブライアンズタイム)。馬主・(株)友駿ホースクラブ。生産者・北海道日高町 幾千世牧場。戦績・18戦10勝(うち地方2戦2勝)。重賞・09年マーチS、かしわ記念、南部杯、JCダートに続き5勝目。総収得賞金・487、775、000円(うち地方110、000、000円)。安達昭夫調教師、佐藤哲三騎手ともに初勝利。

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