2010/5/02 京都競馬場
▼天皇賞(春)・G1 | |||
1着 | ジャガーメイル | ウィリアムズ | |
2着 | マイネルキッツ | 松 岡 | 3/4 |
3着 | メイショウドンタク | 武 幸 | 5 |
伝統の春の盾はウィリアムズ(豪州)騎乗で2番人気のジャガーメイルが初重賞制覇をG1で飾った。外国人騎手の優勝はレース史上初めて。2着は昨年の覇者マイネルキッツで、上位2頭の関係者は豪州最大のレース、メルボルンC・G1(11月2日・フレミントン、芝3200メートル)の出走を示唆した。3着には16番人気メイショウドンタクが入り、3連単は91万円を超える波乱決着。1番人気フォゲッタブルは6着に敗れた。
天皇賞を制したジャガーメイル(右)、2着マイネルキッツ(左)
淀名物の坂を下り終えた、2周目の4コーナー。ごちゃつく内を尻目に、ジャガーメイルが外からスルスルと伸びた。鞍上ウィリアムズがこん身の力で手綱をしごくたび、ひと足早く抜け出したマイネルキッツの背中がどんどん近づいてくる。上がり3F33秒7の末脚を駆使し、ゴール直前で昨年の覇者をきっちり捕らえてゴール。外国人ジョッキーとして初めて春の盾をものにしたウィリアムズは、ウイニングランで派手なガッツポーズを決めて見せた。
「素晴らしい馬に乗せてもらえて、感激しています。勝てたのは馬のおかげ。この馬の可能性を伸ばしてくれた“ホリサン”(堀調教師)をはじめ、皆さんに本当に感謝しています」。オーストラリアなまりの英語にほんの少し日本語をまじえながら、笑顔でお立ち台に立った。
日本では2度目の重賞挑戦で、手にした初タイトル。このレースを勝つために、やれることはすべてやってきた。ジャガーメイルに騎乗経験のあるマイケル・キネーンに電話し、馬の特徴を取材した。火曜に来日し、堀厩舎で“相棒”のレースビデオを何度も観た。水曜には美浦で調教にもまたがった。そして金曜には京都コースを歩き、その形態や芝の状態もしっかりと頭に入れている。「大勢の人が支えてくれたからこその勝利。この馬と一緒にメルボルンCに出たい。きっといい勝負になるはず」と母国最大のG1に思いをはせた。
ジャガーメイルにとってはこれが重賞初勝利。期待馬がようやく素質を開花させただけに、堀師の表情も自然と明るくなる。「去年の秋ぐらいから馬が充実してきて、強い調教に耐えられるようになったのが大きいですね。今回は馬体も絞れていたので、切れる脚が使えるだろうと思っていました。伝統あるレースを勝ててうれしい」。キンシャサノキセキでの高松宮記念制覇に続く、今年G12勝目。この日、誕生日を迎えた智美夫人への最高のプレゼントとなった。
「馬の状態を見ながら」(堀師)だが、秋にはまた世界が待っている。今度は日本のG1馬として、新たなページを作ろうとしている。
ジャンプして下馬するウィリアムズ
若い力が波乱を演出した。16番人気のメイショウドンタクが、好位追走から粘って3着。02年の覇者である父マンハッタンカフェ譲りの持久力を生かし、4歳勢で最先着を決めた。「具合は良さそうだった。ブリンカーも効いていて、気を抜かずに集中して走れていたね。G1で3着は立派。スタミナがあるよ」と武幸。大一番でのパートナーの健闘をたたえた。
3番人気に推されたジャミールだったが、大きな見せ場もつくれず7着に敗退。初のG1挑戦はほろ苦い結果となった。道中は「行くと勝ち切れない。一か八か、一発狙いで」としまい勝負を決め込んだ安藤勝だったが、2周目4角で不利を受けて万事休す。「スパートするところでブレーキをかけたからね。でも3着まではあったかなあ」と競馬場を後にした。
ジャガーメイル… 牡6歳。父ジャングルポケット、母ハヤベニコマチ(母の父サンデーサイレンス)。馬主・吉田和美氏。生産者・北海道浦河町 アイオイファーム。戦績・17戦6勝(うち海外2戦0勝)。重賞初勝利。総収得賞金・336、553、200円(うち海外29、466、200円)。堀宣行調教師、C・ウィリアムズ騎手ともに初勝利。