旭川工・菅家 夢は町を守る白バイ隊員
「高校野球・1回戦、龍谷大平安9‐8旭川工」(12日、甲子園)
最後の打球は飛んでこなかった。延長十一回1死満塁。サヨナラを告げる打球が右中間で跳ねるのを旭川工の中堅・菅家祐太外野手(3年)は無念の思いで見つめた。「できれば自分のところにきてほしかった。自分のミスで点も取られた。ばん回したかった」と真っ赤な顔で声を詰まらせた。
高校3年間の夢は終わった。それでも、菅家にはさらなる夢がある。バットとグラブを置き、警察の白バイ隊員になることだ。幼稚園の年長の時、偶然見かけて「とてもかっこいい。ずっとなりたいと思ってます」と夢を描いてきた。一時はプロ野球選手を目指したが、「やっぱり白バイに乗りたくて」と卒業後は大学へは行かず警察学校を受験することを選んだ。
大好きだった野球は、次のステップへの土台を築いてくれた。「規律を守ることの大切さを旭工で学びました」。体力にも自信がある。胸囲110センチ、ベンチプレス95キロ、背筋力は264キロ。「大盛りで丼4杯は食べます」。体重は中3の67キロから90キロまで増えた。警察官として大切な精神と体力を、グラウンドで身につけた。
菅家にとっては、プロ野球選手と同様に、白バイ警官がヒーローだった。甲子園で流した汗と涙をぬぐって、今度は自分が町の平和を守るヒーローになる。