光星・北條、清原以来2度目2打席連発
「高校野球・準決勝、光星学院9-3東海大甲府」(22日、甲子園)
一発攻勢で光星学院が東海大甲府を破り、3季連続の決勝進出を果たした。ドラフト上位候補の北條史也内野手(3年)が2打席連続本塁打を放てば、田村龍弘捕手(3年)もダメ押しの3ランで続いた。東北勢初優勝をかけ、23日に大阪桐蔭との決勝に臨む。
桁外れの弾道に、3万3千観衆の歓声がどよめきに変わった。四回無死、外角直球をフルスイングでとらえた光星学院の4番・北條の打球が、失速することなくフェンスを越えた。2打席連続のバックスクリーン弾。「センターだと打った瞬間に打球が見られるので気持ちよかった」と、無邪気な笑みをこぼした。
初回の一発もインパクト十分だった。田村の先制打が出た直後の1死一塁から、高めに浮いた変化球を高々と打ち上げた。「センターフライかなと思った」打球はそのままズドン。東海大甲府の出はなをくじいてみせた。
センバツではフェンス直撃の打球が3本。「もう一つ上に行きたかった。甲子園でホームランを打ちたかった」と、ウエートトレや毎日の腕立て伏せで鍛えあげた。ベンチプレスの数値は100キロから105キロに。パワーアップの成果は飛距離となって表れた。
学校での練習では“ホームラン禁止令”が出ている。今年に入ってから、北條が左翼後方の防球ネットを初めて越える打球を放ち、止めてあった車を壊した。仲井宗基監督(42)は、北條と田村の2人だけには「もう引っ張るな」と指示。2本のバックスクリーン弾は、中堅から逆方向を意識し続けてきた結果だ。
これで85年の清原の持つ記録にあと1本と迫る今大会4発目。1大会2度の2打席連発は、同年の清原以来2人目の快挙となる。しかし、聖地の歴史に名を刻んだ主砲が欲しいのは本塁打記録ではない。決勝の相手は、中学時代には進学を希望したがかなわず、センバツ決勝でも敗れた大阪桐蔭。「何が何でも勝ちたい。自信はあります」。もう悔し涙はいらない。東北に悲願の大旗をもたらし、勝って泣く。