丹原の2年生主砲・越智、驚異の飛距離
愛媛に豪快なフルスイングでアーチを量産する2年生スラッガーがいる。丹原・越智達矢右翼手だ。抜群の身体能力を生かして高校通算23本塁打をマーク。学校グラウンド左翼に新たに高さ25メートルの防球ネットが設置されるなど、その飛距離は驚異的だ。何かやってくれそうな雰囲気が漂う“丹原の大砲”は、2000年夏以来、チーム13年ぶりの甲子園出場を狙っている。
度肝を抜く当たりだった。6月30日に行われた北条との練習試合。丹原の3番・越智が放った打球は、相手中堅手のはるか頭上を越え、学校グラウンドのネットに示される黄色の「本塁打ライン」の上に突き刺さった。
「最近調子が悪かったけど、久しぶりにいい感触で打てました」。推定飛距離125メートル。高校通算23本目のアーチに笑顔がはじけた。
魅力は豪快なフルスイングだ。強じんな上半身を目いっぱい回転させ、空振りすれば相手投手に背中が向くほど思い切りバットを振り抜く。
昨秋の愛媛大会3位決定戦(対松山聖陵)では、坊っちゃんスタジアムのバックスクリーンに弾丸ライナーを突き刺した。「このスイングで長打を打つのが自分の持ち味」。2年生スラッガーは胸を張った。
仙波秀知監督は、越智の身体能力を「ものすごい」と表現する。小学5年時、陸上100メートルで全国大会に出場。同6年時には走り幅跳びで県大会を制した。中学1年時は1500メートル走で四国大会優勝。そのスピードと体のバネは、東予高時代に3000メートル障害でインターハイに出場した経験を持つ父・福明さん(44)から受け継いだ。
学校グラウンド左翼には、高さ25メートルの真新しいネットがそびえる。昨年春の入学後、フリー打撃で大飛球を連発。高さ15メートルのネットを軽々と越えてテニスコートに打ち込むため、急きょ増設されたものだ。
その“越智ネット”も、完成後最初の実戦となった3月の練習試合で、あっさりとオーバードライブした。底知れぬパワーに監督もナインも目を丸くしたという。
打撃だけではなく、俊足と強肩でもチームに貢献する。順当に勝ち上がれば、準決勝でセンバツ準優勝の済美と対決。「同学年の安楽と対戦したい。済美を倒して甲子園に行きたい」と気合満々だ。
目指すはチーム13年ぶりの甲子園出場。そして“丹原の大砲”は、自慢のフルスイングで聖地にアーチをかける姿を思い描いている。