またもオコエが魅せた超人的プレー
野球のU‐18ワールドカップ・スーパーラウンドが3日から始まり、1次ラウンドA組首位通過の日本は大阪・舞洲スタジアムでB組3位のカナダと対戦。5‐2で快勝し、開幕6連勝とした。
また、オコエ瑠偉外野手(関東第一)が超人的なプレーをやってのけた。場面はカナダ戦の七回2死。四球で出塁した直後だった。スチールを試み、二塁へ向かってスタートを切った。視界には近づいてくる二塁ベースと一、二塁間にそれるボール、そのボールを捕りに行く二塁手の姿が飛び込んできた。
「スライディングしなくても普通に立ったままベースを踏めればと思って。そしたら送球がそれてセンターへ抜けていったので」。次の瞬間、二塁ベースをオーバーランして一気に三塁へ。センターがボールを捕球した時には三塁ベースへ到達し、ホームをも伺う姿勢を見せていた。
「ボールとか野手とか、一連の動きはすべて見えていました」と振り返ったオコエ。だがあの状況で視野の中心にある二塁ベース、右側に流れるカバーの二塁手、左側頭部方向から迫ってくるボールを同時に視野に入れることは普通の人間では不可能だ。まず二塁へスライディングすることを選択する。
視野が180度以上あるかの問いには「いやいや、そんなことはないですよ」と笑い飛ばしたが…。「気配とかではなく、ちゃんと見えていました」と言いきる。だからこそスライディングせず、瞬時にオーバーランに切り替えられた。
セカンドがボールを捕球していれば三塁、もしくは二塁に転送されタッチアウトになる。故障の危険性も生まれる。状況的にもオコエの俊足があれば二塁からワンヒットでかえれるだけに、無理をする状況ではない。ほぼ100%行ける、セーフになるという確信がなければできない走塁。もはや常人よりも周辺視野が優れているとしか言いようがない。
オコエは夏の甲子園期間中、「日本の視力検査では2・0までしか計ってもらえない。センターから捕手のマスク越しの表情が分かるんです」と超人エピソードを明かしていた。
純粋な視力だけでなく周辺視野も優れている‐。それが源となった超人的なプレーができるからこそ、オコエにファンの注目が集まるのかもしれない。
(デイリースポーツ・重松健三)