釜石、被災地のため21世紀枠対決勝つ

 第88回選抜高校野球大会(20日から12日間、甲子園)の組み合わせ抽選会が11日、大阪市内で行われた。21世紀枠で出場する釜石(岩手)は、第2日第1試合で小豆島(香川)と戦う。21世紀枠同士の対戦は3年ぶり2度目。東日本大震災の発生から5年という節目の日に、注目を集める対決が決定し、菊池智哉主将(3年)らナインは進撃への意気込みを新たにした。

 野球の神様が願いをかなえてくれた。おそらくもっとも話題を呼ぶであろう相手の隣に、釜石がスッポリと収まった。小豆島との21世紀枠対決。見事に“当たりクジ”を引いた菊池智主将は「まさか21世紀枠同士とは。ビックリしました」と笑った。

 できるだけ、注目を浴びたかった。東日本大震災から丸5年。被災地の今を、全国に知ってもらいたいという思いがある。24人の部員の3分の1以上は自宅を失った。仮設住宅から通う菊池智は「被災者の方の思いを考えながらクジを引きました」と明かした。

 エースの岩間大投手(3年)は言う。「5年たって(震災の話題も)3月11日しか放送されない。風化してきている。忘れられてきているのはつらい」。母・成子さん(当時44)は津波に襲われ、行方不明のままだ。甲子園に出発する前には、母を思いながら「勝つ。活躍する。思い切りプレーする」と誓った。自分たちが取り上げられることで、少しでも被災地の力になればという気持ちは強い。

 注目度以外でも、小豆島は待望の相手だ。選手主導で取り組む、似たスタイル。釜石も平日は約2時間しかない練習時間の中で、メニューの一部は選手がミーティングで話し合って決める。「対戦してみたい学校の一つだった」と佐々木偉彦監督(32)。全国での力を測るには、これ以上ない舞台が整った。

 抽選会の冒頭、会場では黙とうが行われた。震災発生時刻の午後2時46分には、新幹線で移動中だったナインも、思い思いに祈った。3・11という節目の日に決まった運命の初戦。菊池智が「すごい巡り会わせだと思う。被災地の方も応援してくれると思うし、恥じないプレーをして勝ちたい」と話せば、岩間は「勝って、甲子園でたくさんの経験をして、歴史をつくりたい」と宣言した。最後まで諦めない“釜石野球”で、聖地から勇気と元気を発信する。

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