高松商8強!初代覇者が完全復活へ加速
「選抜高校野球・2回戦、高松商5-1創志学園」(27日、甲子園球場)
センバツ第1回大会覇者の古豪で、昨秋の明治神宮大会を制した高松商(香川)が、創志学園(岡山)を下して26年ぶりの8強入りを決めた。三回に5番・美濃晃成内野手(3年)が満塁走者一掃の適時二塁打を放ち、6番・植田理久都内野手(2年)が左中間席へ豪快2ラン。一挙5得点の猛攻で、“松坂2世”と呼ばれる創志学園の150キロ右腕・高田萌生投手(3年)を攻略した。
高松商打線が“松坂2世”に襲いかかった。三回2死満塁から5番・美濃が左越えに走者一掃の先制適時二塁打を放つと、続く6番・植田理が放った快音にアルプスの大応援団が沸き返る。舞い上がった打球は、浜風にも乗って左中間スタンドに飛び込んだ。
「球は速かったけど、押し負けなかった。審判の手が回ったときは、マジかって思いました!」
相手エース・高田の140キロ直球をとらえた豪快2ラン。26年ぶりの8強入りを決定づける大仕事に、2年生スラッガーは声を弾ませた。この回、一挙5得点。長尾健司監督(45)も「びっくりポンです」と目を丸くする集中打だった。
高田攻略には、植田理の兄で4番の植田響介捕手(3年)が大きな役割を果たしていた。チームメートも驚くほどの“観察眼”を持つ植田響は前夜、ビデオで相手を徹底分析。高田はセットポジションの際、直球と変化球でグラブの位置が微妙に違うことを見抜いていた。それをチームメートに伝え、対策を講じていた。
大会前に不振が続いていた弟には、18日の練習試合の際に「体が開いて前に突っこんどるぞ」と指摘。的確なアドバイスで復調に導いた。アルプスで声をからした母・恵未さんが「家でも寝るまでずっと一緒にいる」というほど仲が良く、ライバルでもある植田兄弟。高松商打線にとって不可欠な存在だ。
51年ぶりの4強入りが懸かる次戦の相手は海星。弟に夢の聖地弾を先に打たれてしまった兄は「弟のホームランはうれしいけど、自分も負けられない」と闘志満々だ。一方の弟は「兄は最高の打者」と持ち上げ「次もチャレンジャーの気持ちで」と控えめに笑った。
神宮大会から続く快進撃に、OBや卒業生らの期待は熱を帯びる。センバツ第1回大会覇者で、春夏合わせ全国制覇4度。完全復活に向けて加速する名門校が、秋春連覇を視界にとらえた。