智弁・小坂監督、亡き恩師の悲願達成
「選抜高校野球・決勝、智弁学園2-1高松商」(31日、甲子園)
智弁学園(奈良)の小坂将商(まさあき)監督は、天国の恩師・上村恭生氏の悲願を果たした。同校史上初めて4強の壁を越えて優勝。38歳の指揮官は笑顔で達成感に浸った。
「背中にいつも上村監督がいると思っているので」
05年、前監督の上村氏に誘われ、パナソニックを辞めて母校のコーチに就任。その年、師は46歳の若さで急逝し、06年から監督を引き継いだ。07年夏、上村氏の長男・恭一さんと一緒に、監督として初めて甲子園に立ったのは運命だった。
師の夫人で同校音楽教師の佳代さん(50)は夫の形見の帽子をかぶり、声援を送った。「夫は自宅で小坂、小坂と話をよくしていた」。夫が見込んだ後継者が、記念球であふれる仏前に最高の報告を届けてくれた。
監督10年の節目、「本気で狙う」と選手に「日本一」と常に口にさせた。有言実行の頂点。「奈良の智弁も強い、と全国の人に分かってもらえたかな」。現役時代から智弁和歌山と比較された悔しさも晴らした。