早実・清宮は高校で何発打つ?

 夏の高校野球地方大会の組み合わせが各地で決まり始めた。また、熱い季節がやってくる。開幕を心待ちにされているファンの方も多いだろう。

 昨年から最も注目を集めている球児といえば、早実・清宮幸太郎内野手だ。4強入りした夏の甲子園でも、1年生ながら2本塁打を放った。

 2年生となった今年は、さらにスケールアップ。アーチ量産は、驚異的なペースを刻んでいる。18日に三重で行われた招待試合で、早くも高校通算50本塁打。3月の練習試合解禁以降だけで28発を上積みした。2年夏前でのこの数字は、まずお目にかかれない。

 後にプロでも活躍した打者が高校通算50本塁打に到達した時期を見ると、スピードがよく分かる。例えば、花巻東・大谷翔平(通算56本、現日本ハム)は3年時の5月。星稜・松井秀喜(同60本、巨人、ヤンキースなど)は、3年春のセンバツを45発で終え、夏の大会前に58発だから、大谷と同時期だ。PL学園・清原和博(同64本、西武、巨人など)も、3年春の近畿大会で50号を放っている。

 プロで6度のホームラン王に輝く大阪桐蔭・中村剛也(同83本、現西武)は、3年夏の大阪大会で6本塁打を量産した。当時取材した同僚の記者によれば「(2年秋の)新チーム結成以降で、50本以上打った」と話していたというから、2年夏前の時点では30発前後。大抵の選手は、自分たちの代となってから大きく数字を伸ばしている。

 一方で、下級生時の成績が際立つのは大阪桐蔭・中田翔(同87本、現日本ハム)だ。1年夏の甲子園初戦で一発を放ち、全国に名をとどろかせた。2年夏の大阪大会開幕前で41発。46号を夏の甲子園で記録し、50号到達は2年秋と早かった。

 清宮のペースは、こういった大先輩たちを上回る。公式戦8本塁打と“本番”で結果を残していることも素晴らしい。今年は好不調の波をなくそうと打撃フォームの改良も進めている。「確実性が上がった。ボールを見極められるようになった」と、まだまだ成長途上にあるのだから末恐ろしい。

 一体どこまで記録を伸ばすのか。最近は「目標とする数字はない」と話す清宮だが、昨春東京大会で高校初アーチを放った際は「80本ぐらいですかね」と答えていた。これは高い確率でクリアするだろう。高校通算本塁打で歴代最多とされるのが、神港学園・山本大貴(現JR西日本)の107本。高校野球史に残る怪物スラッガーとなりつつある清宮には、まだ1年以上の時間がある。100発の大台超え、そして前人未到の領域に足を踏み入れていく過程を、楽しみに追いかけたい。(デイリースポーツ・藤田昌央)

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