佐渡裕がリベンジ会見、意気込み爆発
「兵庫県立芸術文化センター」(西宮市)で芸術監督を務める佐渡裕によるプロデュースオペラも今年で11年目。2月の記者会見を高熱で欠席したため、改めて4月7日に演目『夏の夜の夢』にかける思いを語った。
ウィーンの名門「トーンキュンストラー管弦楽団」の音楽監督に就任したばかりとあって、2~3週間のペースで日本とヨーロッパを行き来する佐渡。「あの時だけ熱で寝込んでしまい・・・体が休みなさいという合図だったのかもしれない」と、多忙ななか、地元関西で想いを込めてプロデュースし続ける同企画。今回は、念願でもあった作曲家ベンジャミン・ブリテンによるシェイクスピア・オペラとあって思いはひとしおだ。
佐渡がブリテンの曲に出合ったのは、関西二期会で副指揮者だった19歳。以来、師匠レナード・バーンスタインが最後の来日で演奏(悲劇の『ピーター・グライムズ』)するなど縁があったという。「どこかで天才ブリテンを証明したいと思っていた。ただ、こういうことがあったんです。(同シリーズのオペラで)大成功した『メリー・ウィドウ』の翌年に、『カルメン』を演奏したんです。その時のサイン会で『人が死ぬオペラっていやですわー』ってお話される方がいらしゃって。でも、オペラってほとんど死ぬんです! ここで『ピーター・グライムズ』を紹介すると、えらいことになるのではと思い、『夏の夜の夢』にしました。人間、妖精、職人といろんな世界が展開し、舞台となる森も表情を変えて、何層にも重なったような話。心理的な面白さがあり、ありがたいことにだれも死ぬことがない」と、笑いを交えて語った。
また、オーベロン役となるカウンターテナーがダブルキャストとなったのは、想定外との裏話も披露。「彌勒忠史さんとは昔からの知り合い。カウンターテナーが必要となる作品があったら彼というのはずっと決めていた。が、藤木くんから、ぜひ聞いてほしいとお願いされ、急遽オーディションを行ったんです。すでに企画は進んでいたんですけれども、これが見事だった。こいつは天才だ、と。演技力、歌唱力、聴いているものを惹きつける能力・・・海外でも注目される歌手だと思います」と、両歌手を大絶賛した。
今回は劇場の性格を生かした企画もプロデュース。「ここではクラシック、演劇、ジャズ、落語などさまざまな演目が展開される。また、3つのホールのロビーが共有される設計となっているので『あの人いい笑顔をしているけれど何を観たのかな』と興味を持ってもらえるようにも。今回はオペラと同様に『夏の夜は不思議なことが起こる』というのをテーマに、ジャズや落語の企画も行います」。11年目だからこそ、このホールだからこその、新しい挑戦をお見逃しなく。
(Lmaga.jp)
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