窪塚洋介「役者、辞めていいと思った」

遠藤周作の代表作を巨匠マーティン・スコセッシ監督が映画化した『沈黙-サイレンス-』。その公開記念のトークイベントが16日、「関西学院大学」(兵庫県西宮市)でおこなわれ、映画に出演する俳優・窪塚洋介が登場。大学教授らとトークセッションを繰り広げた。

学生や一般応募者ら約80人がつめかけた、この日。本作のキチジロー役でハリウッド進出を果たす窪塚は、「マーティン・スコセッシ監督がすごく日本に敬意をもって撮ってくれているのが、現場でも伝わってきて。時代考証も含めて、丁寧に丁寧に、繊細に気を配ってくれて。寒くて震えながらの撮影もあったんですけど、それすら喜びのひとつというぐらい、参加できたことがうれしかった」とコメント。

小説および映画では、重要なキャラクターであるとともに、卑しい農民として描かれているキチジロー。遠藤周作研究者である細川正義教授(関西学院大学)と山根道公教授(ノートルダム聖心女子大学)が、キャラクター解釈について窪塚に質問すると、「原作では第三者の目線で描かれているキャラクターなので、すごく余白が多いんです。もちろん好きに埋めていいわけもなく、どうすれば(キチジローを)生きられるのか考えたときに、『イノセントさ』というキーワードが出てきて。なにが良くて悪いのか分からない子どものまま成長したというか」と、窪塚流の解釈を披露。研究者である2人の教授を唸らせ、さらに突っこんだ質問が飛び出すなど、熱のこもったトークセッションとなった。

巨匠マーティン・スコセッシが「念願の企画」として、20年以上にわたって温め続けた本作。窪塚はイベントの最後に、「素晴らしい作品になっていると思います。正直言うと、もう(役者を)辞めてもいいかなと思ったくらい、手応えというか、新しい場所に辿り着いたという気持ちになってます」とコメント。映画は来年1月21日から公開される。

(Lmaga.jp)

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