ベルギーの熱い90歳、大阪で大回顧展
この冬話題の「クラーナハ展」がおこなわれる「国立国際美術館」(大阪市北区)。しかしもうひとつ、要注目の展覧会が1月28日から同時開催されるのを忘れてはいけません。20世紀ベルギーを代表する巨匠ピエール・アレシンスキー(1927~)の、日本初の大回顧展『おとろえぬ情熱、走る筆。ピエール・アレシンスキー展』です。
アレシンスキーは第2次大戦後に、ベルギー、オランダ、デンマークの若い作家たちが結成した芸術グループ「コブラ」に参加して本格的な活動を始めました。コブラのメンバーは既成概念にとらわれず、自由奔放な表現を行いましたが、アレシンスキーが関心を抱いたのは、線、文字、言葉です。日本の禅画や書から大きな影響を受け、前衛書道家の森田子龍と交流、1955年には来日して、書のドキュメント映画を作りました。また、漫画のようなコマ割り構造を導入して、奔放な筆致と重層的な画面を持つ独自の世界へと至りました。
90歳の今も現役のアレシンスキー。初期から最新作まで約80点が集う本展で、熱い情熱に貫かれたその画業に触れてください。
文/小吹隆文(美術ライター)
(Lmaga.jp)
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