大阪・ナレッジキャピタルで、近未来のモノづくり展
初心者にも扱いやすいPCソフトやツールが登場し、オープンイノベーションやクラウドファンディングなど、従来にはなかった社会の仕組みが整いつつある今、これからのモノづくりを示唆する興味深い展覧会が、大阪でおこなわれています。「グランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル The Lab.みんなで世界一研究所」(大阪市北区)の『InduSTORY~私たちの時代のモノづくり展~』です。
同展はナレッジキャピタルとオーストリア・リンツに拠点を置く世界最高峰のクリエイティブ・文化機関「アルスエレクトロニカ」とのコラボ企画です。7回目となる今回は、「東京大学・山中俊治研究室 プロトタイピング&デザイン・ラボラトリー」と、「ニューロウェア」の2組が出展しています。
山中俊治研究室の作品は、工学とデザインを高度に融合させたもの。たとえば作品「Flagella」、「Apostroph」、「READY TO CRAWL」は、まるで生き物のように滑らかな動きで観客を驚かせます。これらは、生命体の器官の動きを参照し、全体の制御をせず、3Dプリントの弱点である造形精度の低さを逆手に取るといった、斬新な発想で作られているのが特徴です。
一方、さまざまな分野から集結したメンバーによるプロジェクトチーム、ニューロウェアが見せてくれるのは、センサーに表情豊かな目を付けてモノの感情を可視化した「 mononome」、音声でコミュニケートできるペットのようなコンピュータ「COTOREES」、瞑想の初心者のためのサポートデバイス「Onigillin」です。彼らが提案しているのは、人とモノの新しいコミュニケーションの形。人間と機械が、まるで家族や友人のようにおつきあいできる世界です。
本展の展示物はプロトタイプであり、点数も全8点と決して多くはありません。しかし、それらが示唆するモノづくりのあり方は、大きな刺激と変革に満ちています。ちょっと先の未来をのぞきたい人、自分の価値観を更新したい人に本展をおすすめします。期間は5月7日まで、入場無料。
取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)
(Lmaga.jp)
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