注目のバンド・DYGL、日本と海外で活動する理由

2016年にデビューし、日米を行き来しながら精力的な活動をおこなってきた今大注目の4人組バンド・DYGL(デイグロー)。結成5年目にしてついにファーストフルアルバム『Say Goodbye to Memory Den』を4月19日にリリース。ザ・ストロークスのギタリストであり、ソロアーティストとしても活動するアルバート・ハモンドJr.をプロデューサーにむかえ、アメリカ・ニューヨークで制作された意欲作だ。「バンドを始めたときから、絶対に海外に行くと思っていた」という彼らに、海外で音楽をやる意味や音楽観、日本との相違など聞いた。

「いざ自分でやろうってなったときに、邦楽は自分がやりたいもんじゃないなって」(Akiyama)

──2012年に大学の軽音サークルで結成されたということですが。DYGLの音楽を聴いていると、ザ・ストーン・ローゼズ、ザ・スミス、ザ・ストロークス、ザ・リバティーンズ、アークティック・モンキーズなどインディーロックの影響を受けつつも、それらを自らのサウンドに消化させているなと思うのですが、みなさんのルーツはどこなんでしょうか?

Akiyama(vo)「日本でも流行ってたグリーン・デイとかオフスプリングを聴き始めて、『あ、洋楽って面白いかも』と。ちょうどリアルタイムでインディーロックが流行っていて、ザ・ビューに出会って『あ、僕が本当に好きなのはコレだ!』と思ってから、その周辺のバンドを調べるようになって、ザ・ストロークスとかザ・リバティーンズに関するライナーをかじるように読んだり、ルーツを辿ったりして聴きまくりました。やっぱり、ゼロ年代のUKロックがアツかった時代は、僕の中で大きかったと思いますね」

Shimonaka(gt)「僕は『セブンエイジズロック』という、ブルースとか色んな音楽を特集してるBBCの番組があって、そこでスウェードが『モラルに外れた曲をトップチャートに放り込んでやる』って言っているのを観て、『うあ~、かっこいい!』となって(笑)。そこからは自然な流れで、ポストパンク・リバイバルとかガレージロック・リバイバルを聴くようになりました」

Akiyama「あの番組はよかった。僕も偶然見てて、大学で1番最初に話したのがたぶんその話だったよね」

Kachi(ba)「僕はベースを教えてくれた人がすごい音楽詳しい方で。ザ・クークスを聴いて、なんかすごい良いんだけど、ボーカルがちょっと惜しいみたいな感じのことを言ったら、『それだったらコレはどう?』と、ザ・ストロークスを教えてもらいました。で、ファッション含めてバンドの60年代っぽいのを今風にやっているスタイルがすごい新鮮で、あ、洋楽ってこんな良いんだって。それが最初ですかね」

Akiyama「洋楽のイメージが違ったってよくあるよね」

Kachi「そう。で、そのあと音が良いなって思ってザ・スミスを聴き始めたんですけど、ライブ映像を観てすごいビックリして。ナヨナヨしてるじゃないですか、動きとか。急になんかフニャフニャして、寝っ転がって歌ったりとかしてて『あ、コレがほんとにロックじゃん』って、中二ココロが(笑)」

Shimonaka「疼くよね(笑)」

Kamoto(dr)「みんなすげえ喋るなぁ(笑)。僕は兄と姉が居るんで、その影響で最初はエミネム、グリーンデイ、リンキン・パーク、ゼブラヘッドを小学生の高学年から中学生に聴いてて」

Akiyama「フルコースだ(笑)」

Kamoto「で、兄貴がアークティック・モンキーズのCDを貸してくれて、それ聴いたときにこんな古くさい音楽聴いてらんねえやって思ったんですけど(笑)、何回か聴いてたらすごいいいなと思って、そっからは、まあみんなが言ってるザ・リバティーンズとか聴くようになりましたね」

──なるほど。みなさんルーツはそれぞれですけど、好きな音楽の感覚が同じなんですね。当時、邦楽は聴いてたんですか?

Akiyama「中学、高校くらいまでは邦楽と洋楽は並行して聴いてました。でも、いざ自分でやろうってなったときに、自分がやりたいもんじゃないなと。日本の音楽だと僕はイルカさんとか中島みゆきさん、ザ・フォーク・クルセダーズとかが好きで。日本語がほんとすごく綺麗で、海外の人が真似できないと思う音楽は、日本語でやる意味があると思うんです。でもJ-ROCKとかは聴いてると楽しげな雰囲気があっていいとは思うんだけど、これがほんとに良いものだっていう感覚があんまりなかったんですよね」

──感覚的に、自分たちがやりたいのは洋楽的な音楽だったと。海外での活動はいつくらいから意識してたんですか?

Akiyama「中学でバンドを始めた頃から、『海外に絶対行く』と思ってました。高校生のときは、海外のレーベルに自分のバンドの音源送ったり。できるだけ、海外の人に聴いてもらって、きっかけがあれば海外にいつでも行けるようにしようと思っていたので。このバンドを始めた時も、もう最初からある程度思っていました」

「自分たちの音楽に、好きな音楽の影響がきちんと出て然るべきだと思う」(Akiyama)

──そして2015年に『EP#1』をカセット、ネット・フォーマットでリリースをおこない、同年秋に渡米したんですね。日本で活動するより、海外の方が、自分たちに合ってると感じましたか?

Akiyama「そうですね。単純に僕たちが『あ、このサウンドは良い』とか『この世界観が良い』と思えることをやってる人がそもそも日本には少ない。やっぱり自分たちが始めるきっかけになったバンドは海外のアーティストばかりですし。で、いざ行ってみて、アマチュアでもこういう活動の仕方があるんだ、こういう音楽を紹介してくれるんだとか、細かい気づきが多くて、自分たちの活動に直接役に立つことがたくさん起きてる実感はありました。日本に帰ってくると、どうしてもペースダウンしてしまって」

──やりやすさもありましたか?

Kachi「機材は日本の方が良いなっていうのも多いです(笑)。でも、レコーディングスタジオとかだとやっぱ断然、海外の方が良いですね。こんな音を出したいって僕らが思ってる音を、理解して出してくれる人が多いなと、今回レコーディングしてわかりました」

──感覚がすぐ伝わるっていう。

Akiyama「そうですね。言葉は通じないけど、音楽的な意味では通じることが多かったです」

──海外のバンドと日本のバンドってどういう違いがあるんでしょうか?

Akiyama「もうあらゆる点が違いますよね。すんごい難しいんですけど、これを変えたら洋楽になる、これを変えたら邦楽になるのかっていう、なんかそういう一点では言い切れない」

Kachi「僕は、音楽との付き合い方も含めて、価値観が全然違うなって思ってて。海外はライブをちっちゃいハコで出来る場所が多い。僕らのことなんて全然知らないと思うんですけど、コンタクトしたら出させてくれるっていう機会が結構ありましたし、ロサンゼルスに行ったときはホームパーティに呼ばれてライブしたり(笑)。日本だったら考えられないですよね」

──確かに、海外の方が音楽と身近だなというイメージがあります。生活に根付いているというか。

Akiyama「日本では、ちっちゃいショーでも照明落として、SEかけて・・・みたいに、やっぱりエンタテインメント的なものがあると思うんですけど、海外はステージがあればやるっていう人がいて、誰も聴いてなくても成立しているという感じ。もっとラフ。やっぱそれって、音にもあらわれてるし、価値観の違いが音楽のあり方とか、ステージのあり方とか、どういう人が聴くのか、全部影響してると思うので。どういう人間がどういう音楽やってるっていうのは必ずリンクしてて、だから日本人の音楽と海外の音楽は違う。逆に日本人的な外国人が音楽をやったら、J-Popになるかもしれないし、僕らはやっぱり映画や音楽も海外のものが好きなので、海外での音楽活動が合ってるんだと思いますね」

──で、DYGLは自分たちのルーツでもあるインディーロックを、今の時代に継承していると。

Akiyama「そうですね。音楽に対する1番シンプルなモチベーションは、単に『好きだから』、ただそれだけなんですけど。何のルーツも無い音楽よりは、やっぱり、ホントに好きだっていうのが感じられる音楽が好きで。好きだったら掘っていくと思うんです。その時その場限りでパンってやってる流行り物の音楽とかは、日本でも海外でも関係なく、ダッセェなって思うこともありますし。僕たちは、自分たちが大切にしている音楽、自分たちが好きな音楽を聴いてるときに、受けた感情とか感覚が、自分たちの音楽にもあればいいなって思ってるので、好きな音楽の影響がきちんと出て然るべき、それが自然かなって。次の世代に伝えるとか、そういうのは好きじゃないので、自由に聴いてもらえたらいいし、ホントに好きでやっていることを、ブレずにやっていけたら良いですね」

──そして、ファーストフルアルバムですが、ストロークスのアルバートがプロデュースするというのにビックリしました。きっかけは何だったのでしょう?

Akiyama「絶対に良いアルバムにしたいし、今、自分たちが持っているビジョンを形にしてくれるエンジニアの人に頼みたいって思っていて。自分たちの好きなエンジニアの候補を挙げて、アタックしていこうと話をしていたんですけど、そのなかの1人、ザ・ストロークスの作品をプロデュースしているガス・オバーグを紹介してくださる機会があって、音源を送ったら、気に入ってくださって。そしたらアルバートが日本のバンドをちょうどプロデュースしたいって言ってて、アルバートも一緒じゃないと仕事できないと言われたんです。でも逆にアルバートクラスの人だと、その人がやりたいようにしかしてもらえない、自分たちのビジョンに近づけないんじゃないかと、うれしい反面ちょっと不安もあったんですけど、でもこれ以上の話はないだろうと」

──すごいタイミングと縁ですね。

Akiyama「で、いざレコーディングしたら、彼らも僕たちの考え方をリスペクトしてくれましたし、僕たちもはっきり自分たちがどういう意図でこれをやりたいのか、というコミュニケーションをとれたので、すごく良かったです」

──では、自分たちの音楽をちゃんと評価してくれて、良いアレンジをしてくれたって感じですか。

Akiyama「そうですね。日本人のバンドをやりたかったってことは、誰でも良かったのかなと思ってて、なんで僕らの仕事を受けてくれたのか、気になっていたので聞いてみたんです。そしたら『デモ音源を送ってもらって、それが好きだったからだよ。それ以上でもそれ以下でもなくて、音楽が良いから仕事を受けた。それだけだよ』と言われて。それはほんと、自信になりましたし、好きで受けてくれたというのはうれしかったですね」

──好きで影響を受けていたアーティストに認められるって、それは自信になりますよね。やっぱり、アレンジとか、すぐに感覚的な部分は伝わるんですか?

Akiyama「僕がザ・ストロークスを散々聴いていたというのもあって、やっぱりアルバートもコレ良いと思うんだっていう不思議なシーンが何回かあったり。逆に『そこまで削る?!』みたいなとこもあったんですけど、すごく画期的な切り口で、曲をより良くしてもらったポイントもたくさんあったので、本当に一緒に作ることが出来てよかったと思います」

──手応えを感じるアルバムができましたね。それを携えたツアーが5月からはじまります。日本全国22カ所(関西では大阪、京都、兵庫)、台湾やタイ、インドネシアなどアジア7カ所を回りますが、今後は日本での活動を増やしていくんでしょうか? 夏には『FUJI ROCK FESTIVAL’17』にも出演しますね。

Akiyama「今年はかなり多いと思います。あんまりこれまで関わりがなかったバンドと一緒に出ることも多くなるので、結構楽しみだな。どういうバンドがいるのか、各地に」

──初日5月13日は大阪「梅田シャングリラ」(※SOLD OUT!)です。

Kachi「楽しみです!」

(Lmaga.jp)

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