阪急愛から生まれた電車の舞台、2作一挙上演

昨年は活動15周年で3本の作品を上演した関西出身の「劇団鹿殺し」。16年目となる今年は、6月23日~25日に「サンケイホールブリーゼ」(大阪市北区)にて、劇団の記念碑的作品『電車は血で走る』と『無休電車』を同時上演する。脚本を務める丸尾丸一郎に、作品への思いを聞いた。

電車をモチーフに劇団の歴史を盛り込んだ両作。その理由を尋ねると丸尾は「僕、阪急電車が大好きなんです(笑)。小学生の頃から大学までずっと阪急電車に乗って学校に通っていて、就職試験の最終面接までいきました。匂い、シートの座り心地、すべてが好き」と熱く語る。

2008年初演の『電車は血で走る』は、大阪の下町・庄内の工務店が舞台。働きながら「宝塚奇人歌劇団」として歌舞伎、宝塚、ロックが混在する奇天烈な芝居で夢を追う者たちの姿を描き、「電車をモチーフにすることで、人生の道を誰が敷いてくれたのか、その道をどんな気持ちで進んでいるかを表現できた」という。

そして2013年に東京だけで上演された『無休電車』は、その5年後を描く。「劇団が上京を決意するもいろんなトラブルが起きて、夢が破れてしまうのか、続けていくのか・・・。どちらも鹿殺しをモデルにした『宝塚奇人歌劇団』の物語。自分たちはカッコいいと思っているけど客観的に見るとダサい(笑)。劇中劇で笑ってもらえるとうれしいですね」。

記念碑的な2作を同時上演することには、「まだまだ暴れて、ブイブイ言わせたい」という思いも。「特に『電車は血で走る』は初演で2000人の動員を突破、再演で4000人を突破できた。今回上演することで、また新たなステージにいけたら」と力を込める。そして、大阪は収容人数912席の「サンケイホールブリーゼ」で初の公演。丸尾は、「劇場が大きくなるとできることが増えるから、早く進出したかった。これから20周年に向けて、いい意味で庶民感覚でいることは変わらず、商業演劇を観慣れているお客さんももっと取り込んで、観劇人口を増やしていきたい」と意気込みを話した。チケットは1作品5900円、2作品セットで10900円、各プレイガイドで発売中。

取材・文・写真/黒石悦子

(Lmaga.jp)

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