「ポップな悪夢」芥川の世界が舞台に
サーカスやダンスが融合したような、ファンタジックな舞台が人気のイスラエルの演出家コンビ、インバル・ピント&アブシャロム・ポラック(以下P&P)。名作童話『100万回生きたねこ』の舞台演出(2013年/2015年)で日本でも一躍知名度を上げた彼らが、柄本佑、満島ひかり、吉沢亮らとともに、芥川龍之介をテーマにした舞台『百鬼オペラ 羅生門』を上演する。
物語の中心となるのは、名作短編『羅生門』。失業した下人が羅生門で出会った老婆の話を聞くうちに、盗賊となって生き延びる道を選ぶ・・・。その決心に至る数秒の間に、下人の脳内で何が起こっていたのかを舞台で見せていくそうだ。そこには芥川の『藪の中』『鼻』などほかの短編や、芥川自身のエピソードも盛り込まれ、さらに「日本の妖怪に興味がある」というP&Pの要望で、多数のオリジナルの妖怪が「百鬼夜行」のごとく登場する。
P&P独特のシュールなビジュアルに、故・蜷川幸雄作品の劇音楽を多く担当した阿部海太郎らの音楽が絡んでいくことで、「ポップな悪夢」とでも言うべき世界が立ち上がりそうな本作。『100万回~』で彼らの演出は体験済みの満島はもちろん、舞台経験も多い柄本&吉沢がこの未知なる世界でいかに新鮮に遊び回るのかにも期待しよう。関西公演は10月6日~9日、「兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール」(兵庫県西宮市)にて。チケットは11500円、各プレイガイドで5月27日に発売される。
文/吉永美和子
(Lmaga.jp)
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