ダルまたあと一人…「伝説になりたい」
「レンジャーズ8‐0レッドソックス」(9日、アーリントン)
レンジャーズのダルビッシュ有投手(27)は、本拠地でのレッドソックス戦で先発。無安打無得点試合達成まであと一人の九回2死から安打を許し、日本投手では2度マークした野茂英雄投手以来となる快挙はならなかった。
無情にも、強打者オルティスのために敷いた右寄りのシフトの二遊間をゴロが抜け、右前に。ダルビッシュが九回2死で無安打無得点試合達成を逃した。
「(終盤は)できるかなあ、どうかなあと思っていた。もちろん悔しい」と語る。12個目の三振を奪い、大歓声に背中を押されながら相手の主砲オルティスと対戦。126球目の151キロを運ばれた。
気持ちが切れかけた場面があった。七回2死、オルティスの飛球が右翼に。これを新人の二塁手と右翼手が見合って打球が間にポトリ。ダルビッシュは「安打かなと思ったので、一瞬残念だなと思った」そうだが、判定は「失策」。エンジンをまたかけ直した。
二回途中からは6者連続三振。「フォームを見直して、いいときの感覚を取り戻すことができた」と言う。ワシントン監督は「今まで見てきた中で、ベストな投球だった」と評した。
不名誉を免れたレッドソックスのロッカールームでも右腕の話で持ちきりだ。土壇場で内野の間を抜く右前打を放ったオルティスは「最後の球が唯一の打てる球だった。シフトを敷いてなかったら(二ゴロで)試合終了だった」と振り返った。ファレル監督は「ストライクゾーンで4種類の球種が機能していた」と脱帽した。
昨年4月のアストロズ戦でも完全試合をあと1死で逃したダルビッシュは「あと一人でできなかった世界記録を作って、伝説になりたい」と冗談を飛ばした。しかし、偉業に匹敵するようなインパクトを残す快投だった。