マー君手術も 近日中にシアトルで診察
ヤンキースは9日(日本時間10日)、田中将大投手(25)を右肘炎症で15日間の故障者リストに入れることを発表した。同投手はこの日、MRI(磁気共鳴画像装置)検査を受けるため、遠征先のクリーブランドからチームを離れてニューヨークへ移動。早ければ、10日にもチームドクターや肘手術の権威らが出席する整形外科医の学会が行われているシアトルへ飛び、診察を受ける。最悪の場合、手術の可能性もあり、その診断に注目が集まる。
チーム内に衝撃が走った。試合開始2時間前の一塁側ベンチ。五重六重に取り囲んだ日米報道陣を前にジラルディ監督が田中将のDL入りを明らかにした。
「前日の試合後にトレーナーに右肘の痛みを訴えた。その場でニューヨークに戻って検査することを決めた」
8日のインディアンス戦に先発した田中将は、自己ワーストの5失点で4敗目を喫した。試合後の会見では不調の理由を「自分の中で分かっている部分はある」とだけ話し、体調については言及しなかったが、そのときすでに右肘は悲鳴を上げていたことになる。
試合前にクラブハウスが報道陣に開放されたとき、田中将の姿はなく、ロッカーにはトレーニングウエアや「19」の入ったバッグは残されたままだった。
検査結果はまだ出ていないこともあり、指揮官は「私は深刻なけがとは言っていない」と話す一方で、症状については「DISCOMFORT(違和感)」や「TIGHTNESS(張り)」の言葉はなく、「SORENESS(痛み)」と説明。両リーグ最多の12勝を挙げている若きエースの離脱に「大きな損失だ」と落胆の色を見せた。
複数の米メディアは「炎症」を「じん帯損傷の兆候」ととらえた。最悪の場合、トミー・ジョン(腱移植)手術の可能性もあるという見解だ。その場合、今季の残りだけでなく、来季のプレーも絶望的になる。
試合後、球団は田中将が近日中にチームドクターの診察を受けるためにシアトルに出向くと発表した。約6時間の大陸横断。同学会には肘手術の権威でもあるアンドリュース医師らも出席しており、MRI検査の結果次第では同医師らの意見を求めることになる。
7年1億5500万ドル(約160億円)の契約で大きな注目を集めた田中将。わずか1カ月前までは新人王だけでなく、サイ・ヤング賞やMVPの候補にも挙げられていた。「長引くことなく、2、3週間で復帰してくれることを願っている」。指揮官の言葉が全員の気持ちを代弁していた。