マー君靱帯切れていた…復帰まで6週間
右肘の炎症で故障者リスト(DL)しているヤンキースの田中将大投手(25)が10日(日本時間11日)、シアトルでチームドクターを含む3人の診察を受け、右肘の内側側副靱帯(じんたい)の部分断裂が発見された。この日電話会見に応じたブライアン・キャッシュマンGM(47)が発表し、復帰まで最低6週間のリハビリが必要との見通しを示した。一方、肘の状態に改善が見られなければ、トミー・ジョン手術(腱移植手術)の考えがあることも明かした。
恐れていたことが現実のものとなった。イ軍との試合中に行われた緊急電話会見。日米約30人の報道陣が集まった一室に置かれた携帯電話から聞こえるキャッシュマンGMの声は震えていた。
「マサヒロ・タナカに関してチームドクターを含む3人の医師の診断の結果、右肘靭帯に部分断裂が見つかりました」
1月の契約時に行った健康診断では存在しなかった新たな傷。同GMは「今後はPRP注射(自身の血液から採取した血小板を注入して損傷部を再生する)を打ってリハビリのプログラムに従うことに決まった。現時点で手術の必要はなく、復帰まで6週間を見込んでいます」と、復帰は早くても8月下旬になる見通しを説明した。
田中将の右肘が悲鳴を上げたのは先発登板した2日前だ。七回途中99球を投げて自己最悪の5失点で4敗目。試合後に本人が球団のトレーナーに痛みを訴えたため、炎症を理由にDL入りが決まった。
「肘の炎症」=「肘靭帯の損傷」。この図式は田中将に限ったことではない。近年では松坂(当時レッドソックス)、和田(当時オリオールズ)、田沢(レッドソックス)、藤川(カブス)がいずれも同じ症状で靭帯の一部断裂もしくは完全断裂が判明し、トミー・ジョン手術(腱移植手術)に踏み切っている。
今回、田中将が手術を回避できたのは、「小さな傷」(同GM)だったためだが、楽観視はできない。痛みが長期化したり、一度消えた痛みが再発したりすれば、「手術の考えはある」とも話す。
田中将が初めて経験した2試合連続の中4日登板の直後に右肘が悲鳴を上げた。ロスチャイルド投手コーチは「復帰後は疲労を考えて登板日を決めていくが、連戦中の中4日は仕方がない」と話すように、復活のカギはメジャー流スケジュールに耐えうる肉体をつくること。制限時間は約1カ月半。投手生命を懸けた田中将の挑戦がここから始まる。