清宮の32年先輩、桑田の2発振り返る

 「全国高校野球・準々決勝、早実8-1九州国際大付」(17日、甲子園)

 早実(西東京)注目のスラッガー、清宮幸太郎(1年)が2試合連続となる本塁打を右翼席に放った。1年生での大会2本塁打は83年の桑田真澄(PL学園)以来の快挙とあって、その桑田の名前も注目されている。デイリースポーツの当時の記事を元に、桑田氏の活躍を振り返った。

 「桑田独り舞台」、「怪物1年生」、「完封だ3ランだ」-。派手な大見出しが踊っている。日付は1983年8月17日。前日に行われた中津工(大分)との2回戦は1面で大々的に報じられた。1年生エースの桑田は3安打完封。打っても八回、内角低めの初球を左翼ラッキーゾーンに放り込んだ。これが桑田の「高校初アーチ」と記載されている。

 ラッキーゾーンとは本塁打が生まれやすくなるように客席よりも手前に設けられた柵のことで、そこに打球が入れば本塁打になる。現在、同じ飛距離ならば当然、本塁打にはならない。甲子園では91年に撤去されている。

 桑田は「入るとは思わんかった。でもホームランとわかった時はスカッとしました」と取材に答えている。さらに、興奮したのか上半身裸の男性が乱入する珍事も。現代では考えられないような光景が繰り広げられていた。

 さらに桑田の名前を全国にとどろかせたのが、前人未踏の夏春夏連覇を目指していた池田(徳島)と対戦した準決勝だった。「やまびこ打線」とうたわれた強打の池田打線を散発5安打で完封した。打っては二回に1点を先制した後の2死二塁の場面、内角寄りの球を左翼席スタンド中段まではじき返した。相手投手は卒業後に巨人に入団した水野雄仁だった。

 桑田は「走者で塁へ出て、走ったりするとへばってしまう。だから狙っとったんです。打った瞬間、やったと思ったですよ」(当時のデイリースポーツより)。狙って打った本塁打だとさらりと言ってのけている。

 そして横浜商(神奈川)との決勝戦では安打はなかったものの、6回1/3を無失点とし、PL学園5年ぶり2度目の優勝の功労者となった。「池田を抑えたんやし、ピンチになっても、点取られるとは思わんかった」と大勢の記者に囲まれても物おじしない様子が記録に残っている。

 清宮も自分の思いを率直に語る様子が印象的だ。1年生から活躍するには、野球選手としての技術や体力はもちろん、大舞台にのまれない気持ちの強さも条件なのだろう。(敬称略)

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