甲子園V小笠原、WWEに“薫陶”
100周年を記念した全国高校野球選手権は20日、東海大相模(神奈川)が45年ぶり2度目の優勝を飾り閉幕した。
早実の怪物ルーキー清宮や関東第一のオコエらスター選手がそろった中で、最後に主役の座を勝ち取ったのが優勝校のエース・小笠原慎之介投手(3年)だ。仙台育英との決勝戦では、4万3000人の大観衆の前で9回を投げ抜き、自ら試合を決めるホームランを放ってみせた。
大舞台で強心臓を発揮した左腕の勝負強さの原点は“世界最大のスポーツ・エンターテインメント”にあったのかもしれない。米国のプロレス団体WWEの大ファンである小笠原は、毎年開催される「レッスルマニア」で約8万人を集めるなど世界中のファンを魅了するスーパースターたちに、幼少期から“薫陶”を受けてきた。
「毎週、(WWEのテレビ番組である)『ロウ』と『スマック・ダウン』は見ています」という父・仁さん(45)の影響で、小笠原も幼稚園の頃からリング上の華麗なファイトにくぎ付けになった。特にお気に入りのスーパースターはHHH、ランディ・オートン、CMパンクだという。
高校で寮に入るまでは、3歳下の弟・智一さんと家でプロレスごっこに興じていた。「力が強かったので、パワーボムやバックドロップをよく食らいました」(智一さん)。母・美智子さん(41)は「高校に入ってからも(WWEの)グッズを買って身につけていました。自分が主役になるんだ、というのはあったかもしれない」と話す。
連日、約5万人の大観衆が見守る中で、胴上げ投手になった。今秋のドラフト1位候補で、プロ志望届の提出も確実。卒業後はプロという戦いのリングに上がる。やがては左腕から放たれる150キロ超の直球というフィニッシュ・ムーブで大観衆を総立ちにさせる日が来る。