楽天・斎藤隆、涙の惜別ピッチで三振斬り
「楽天4-5ソフトバンク」(4日、コボスタ宮城)
今季限りでの現役引退を表明している楽天・斎藤隆投手(45)が九回、涙のラストピッチングでマウンドに別れを告げた。
3番手として九回の登板が告げられると、スタンドの「斎藤コール」に迎えられた。9番・細川を相手にオール直球勝負。真っ赤に充血した目は投げるごとに潤み、最後は涙を流しながらの3球目となったが空振り三振に打ち取った。
24年間の現役生活最後の登板を終えると嶋と抱き合い、マウンドに駆け寄った内野陣と握手。足を運んだ大久保監督とも握手を交わし、スタンドの方々に一礼。4番手の松井裕の肩を2回たたいてゆっくりとマウンドを降りた。
試合後は引退セレモニーが行われ、横浜(現DeNA)時代の同僚、ソフトバンクの内川、楽天・則本、松井稼から花束を贈られた。
最後のあいさつは「こんなに長いセレモニーをして頂いた後に話長くなるのは申し訳ないんですが、工藤監督、よろしいでしょうか。この先大事な戦いが待っているのに風邪をひいたりしないようにして下さい」と断ってから始めた。
「2011年、この東北に悪夢のような出来事が起こりました。自分には何ができるのか、自問自答する日々が続きました。私には野球がありました。ボロボロの体を引きずって皆さんの前で投げることが、きっと皆さんの勇気になれるんじゃないかと信じて2013年に楽天に入団を決意して、皆さんとともに輝かしい日本一という栄冠をつかむことができました。あの優勝は、復興を目指す多くの方々とともに踏み出した、大きな一歩になったと信じています」と語りかけ、「皆さんから頂いた熱い声援は、私の魂に変えてこのグラウンドとマウンドに置いていきます。後輩たちにすべての思いを託し、新しい第2の人生を歩んでいこうと思っております」と、充実感たっぷりの表情で話した。
斎藤は東北福祉大からドラフト1位で92年に大洋(現DeNA)入団。06年に米国へ渡り、ドジャース、レッドソックス、ブレーブス、ブルワーズ、ダイヤモンドバックスでクローザーなどで活躍。13年に故郷・仙台の楽天で日本に復帰し、その年の日本一に貢献。日米通算112勝96敗139セーブの成績を残した。