【野球】野手ドラフトで確認、快足価値

 NPBドラフト会議が22日に開催され、今年は116人の選手(育成含む)が指名された。野手に上位候補が豊作と予想した通り、投手中心だった近年とは異なる傾向が現れた。

 阪神とヤクルトが競合して阪神が交渉権を得た高山俊外野手(明大)、ロッテと楽天が競合してロッテが交渉権を得た平沢大河内野手(仙台育英)、オリックスに単独指名された吉田正尚外野手(青学大)、平沢の抽選を外した楽天が指名したオコエ瑠偉外野手(関東第一)の、4人の野手が1位に名を連ねた。野手4人の1位は、11年以来4年ぶりのこと。外野手3人が1位となったのは、08年以来7年ぶりだ。まさに“野手ドラフト”だった。

 ここまでは想定の範囲。そして2位に目を向けると、さらに3人いた。中でも、巨人2位の重信慎之介外野手(早大)、楽天2位の吉持亮汰内野手(大商大)には、少なからず驚きがあった。失礼ながら、記者の予想を上回る順位での指名。その要因を考えてみたところ、あらためてプロの各球団は“足の価値”に重きを置いているのだと感じた。

 重信は東京六大学リーグ現役最多の通算38盗塁を誇り、50メートル走は5秒7という韋駄天(いだてん)。通算打率3割2分を超える打撃も光るが、最大の武器は足だ。それは吉持も同じ。50メートル走は5秒8。関西六大学リーグでは通算62盗塁を決め、連盟記録にあと3に迫った。

 2位までに指名された内・外野手は、ヤクルト2位の広岡大志内野手(智弁学園)を含む7人。50メートル走のタイムが6秒を切ったのは、重信、吉持のほかに、5秒8の高山、5秒9のオコエと、4人に上った。もちろん、ダイヤモンドでの走力はまた異なるとはいえ、このタイムは一つの指標にはなるだろう。

 毎年、スカウト陣に野手の評価を尋ねると、幾度となく耳にするのが「バッティングはいいよ。守れるのも守れる。けど、足がないからなあ」というセリフ。ちなみに22日のドラフト後、あるスカウトと吉持の話題になった際には「やっぱり、あの足は魅力なんだよ」という言葉が返ってきた。

 今ドラフトでも、前評判の高かったスラッガーが、意外と下位で指名されたケースが見られた。特に大砲タイプになると、高校生はともかく、大学生・社会人が上位指名されるには、高い壁があるといっていい。

 華やかさが際立つホームランや巧みなバットコントロールより、圧倒的なスピード。そんなプロの視点も垣間見えた、今回のドラフトだった。(デイリースポーツ・藤田昌央)

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