首位・巨人の原動力は小林誠の成長

 巨人・小林誠司捕手が、献身的なリードで投手陣を支えている。先発の駒が不足し、山口らリリーフ陣も本調子とは言えない状況。それでも3年目捕手が奮闘し、チームは40試合を消化した時点で首位に君臨している。

 開幕前、小林誠の位置付けはレギュラー阿部に次ぐ「控え捕手」。だが、26歳は「阿部さんがいても開幕戦には出るつもり」と努力を重ねた。阿部が右肩痛で出遅れると、高橋監督は迷わず正捕手の座を小林誠に託した。

 攻撃面は打率2割前後と、レギュラーとしては物足りない。だが、他球団のスコアラーが「投手とコミュニケーションを取って、何とかしようという姿勢が見える」と話すように、数字に表れない守備面での貢献度を評価する声は少なくない。

 今季、ピンチの場面で小林誠が自らマウンドに行く回数が増加。イニング間も投手のもとへ向かい、配球面の打ち合わせを繰り返す。試合後は勝敗に関わらず各投手と「反省会」を開き、次回の登板に備える。捕手として当たり前のことのようだが、こうした姿勢は昨季までには欠けていた部分でもあった。

 成長を後押ししているのが、村田善則バッテリーコーチだ。「去年までもそういう部分は持っていたと思う。ただ、自分の中で思っているだけでなく、伝えていこうと。指だけのサインでは(気持ちが)伝わらない。試合の序盤でも、気づいたことがあったらマウンドに行けと言っています。少しずつ視野も広がってきたかな、とは思います」。自身の考えや配球の意図を投手にしっかりと伝達。投手との二人三脚で、ピンチを乗り切ることも増えた。

 14日のヤクルト戦では、序盤に制球が不安定だった先発・今村に「もっと攻めていこう」と腕を振らせ、2勝目に導いた。翌15日の同戦でも同級生の高木を好リード。3試合ぶりの勝利を飾った高木は「本当に苦しくて、(小林誠と)けんかを何回もした」と、白星にたどり着くまでの舞台裏を明かした。

 若い投手にとっては、年齢の近い小林誠には意見をぶつけやすい“利点”もある。小林誠は「(高木とは)感情的になってぶつかったこともありますが、野球の話だからいいこと。それがチームの勝利につながる」と、気持ちを受け止める。

 積極的にコミュニケーションを図ることで投手陣との距離も接近。今ではエースの菅野が「自分の中で、彼の存在は大きい」というほど、信頼を得られるようになった。徐々に、厳しさを増していくペナントレース。小林誠が一段ずつ階段を上がることで、チームも頂点に近づいていく。(デイリースポーツ・佐藤啓)

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