電撃引退の町田樹「晴れやかな気持ち」
日本スケート連盟は28日、全日本選手権終了後にフィギュア委員会などを開き、15年世界選手権(来年3月・中国、上海)に臨む日本代表を発表したが、リンク上で代表に選出された町田樹(関大)が突然、現役引退を発表。代表辞退を表明した。
電撃発表後、町田は報道陣の取材に応じ、自ら持参した紙を読み上げた。内容は次のとおり。
「皆様、このたび私はこの全日本選手権大会をもちまして、現役の選手を引退することを決断いたしました。
近年ではスポーツ選手のスポーツキャリア問題が社会問題となるに至っており、JOCも問題解決に向け、アスリートセカンドキャリアサポート事業に取り組んでいるほどです。私も選手引退後のキャリアデザインに苦労した一人です。
しかしながら、周囲の方々のご指導のもと、自分自身でセカンドキャリアへの一歩を踏み出せるよう、競技を続ける傍らで、文武両道を胸にここまで準備をしてまいりました。
実は今シーズン序盤、スケートアメリカに出場するために、シカゴへと出発する直前に、私は早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程2年制の一般入試を受験いたしました。
その合格が発表されたのは、スケートアメリカのショートプログラムが行われる日のことで、文字通り万感の思いで演技をいたしました。
その後もシーズンを通して、私は文武両道を志し、今季のプログラムである『バイオリンと管弦楽のための幻想曲』と、『第9交響曲』の完成を目指して、周囲の方々の心強いご指導のもと、初志貫徹で精進してまいりました。
そして今大会での自分の演技を終えた結果、私は自分の引退を本当に晴れやかな気持ちで、本日12月28日の朝、決断することができました。ご指導頂いている大西コーチにも本日その意志をお伝えしたところです。
約21年間の競技人生でしたが、何も思い残すことなく、誇りを胸に、堂々と競技人生に終止符を打てます。これもひとえに関西大学、国際スケート連盟、および日本スケート連盟、歴代コーチ、歴代振り付け師の先生方をはじめ、周囲の方々のご支援ご指導、また家族の支えがあったからであり、さらに多くのファンの皆様のお心温かい応援があったおかげです。本当に心から感謝を申し上げます。
そして、2015年4月より早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程2年制に入学後は博士課程進学を視野にいれ、将来的には研究者を目指し、一大学院生として精進してまいりたいと強く思っています。
フィギュアスケートをスポーツマネージメントの領域で考察する研究者として、社会から真に必要とされる人材となるべく、真摯に新たな道に歩んでいく所存です。
なお機会を与えて頂ければのお話ではありますが、今後とも研究活動の一環とアイスショー等での演技や創作活動を必要最小限の数の舞台において、経験させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
皆様には今後とも静かに見守っていただけますなら幸いです。重ねて心より御礼申し上げます。ありがとうございました」