石井慧 恩師・斉藤仁氏からの叱責
柔道男子の95キロ超級で84年ロサンゼルス、88年ソウルと五輪2大会連続金メダルを獲得した国士舘大教授の斉藤仁氏が20日に54歳で亡くなった。
2008年北京五輪の100キロ超級で金メダルを獲得し、その後格闘家に転身した石井慧(28)と、当時の柔道男子日本代表の監督だった斉藤氏とは、同じ国士舘大の師弟関係もあり、浅からぬ因縁があった。
金メダル獲得後、石井は斉藤氏から、12年ロンドン五輪での連覇へ向け、柔道存続の道を勧められていたが、石井は恩師の意に反して、すぐに総合格闘家への道を選んだ。
石井は北京五輪後の秋の園遊会で天皇陛下から「次のオリンピックは目指されますか?」と尋ねられた際に「目指しません」と明言。これを海外遠征先で知った斉藤氏は帰国後に「やらかしよったな、まさかね、まさかだろう」と衝撃の思いを明かしていた。
また、石井があるインタビューで「オレは天才」と発言した件について、斉藤氏は石井を国士舘大柔道部の師範室に呼び、「ふざけるな。50%は周りがお前をつくってるんだ」などと叱責。石井は黙ってうなづいていたという。
石井が周囲に与える影響力に関して、斉藤氏の気遣いは並々ならないものだった。金メダルのヒーローとしてテレビのバラエティー番組などに2人で出演した際には、自由奔放な発言を期待するスタッフの狙いを察知して、先に斉藤氏が「揚げ足を取るようなこと、聞かないでね」とお願いの弁を発していた。