羽生 因縁リンクで堂々のSP首位
「フィギュアスケート世界選手権・男子SP」(27日、上海) 男子ショートプログラム(SP)が行われ、日本男子初の2連覇を目指す羽生結弦(20)=ANA=がシーズンベストの95・20点をマークして首位に立った。フィギュアスケート元世界女王の安藤美姫さん(27)と交際中のハビエル・フェルナンデス(スペイン)は92・74点で2位。デニス・テン(カザフスタン)が85・89点で3位につけた。
小塚崇彦(26)=トヨタ自動車=は70・15点で19位、無良崇人(24)=HIROTA=64・93点で23位と出遅れた。
数々の試練を乗り越えてリンクに戻ってきた王者・羽生が堂々の首位に立った。
ショパンの「バラード第1番」に乗って華麗に舞った。冒頭の4回転トーループで両手をついたもののトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)をきれいに決め、今季は失敗が続いたトリプルルッツ-トリプルトーループにも成功。安定した演技を披露し終えると満足そうにほほ笑み、悲鳴交じりの大歓声に両手を挙げて応えた。
だが、心中は悔しさでいっぱいだった。「率直に言うと、ノーミスできなくて正直悔しいですけれども、今シーズンずっと苦戦していたルッツ-トーループのコンビネーションがきれいに入ったこと、のびのびと楽しんで滑れたのでそこは良かった。今回、ルッツ、トーを重点的に練習してきたことは正しかった」と、冷静に分析した。
3連覇した全日本選手権から3カ月ぶりの試合に「試合勘が全然なくて本当に緊張しました。どう対処したらいいのかわからなかった」。そんな中でのシーズンベストだった。
会場の上海東方体育中心(上海オリエンタルスポーツセンター)は、因縁の場所だ。昨年11月のグランプリ(GP)シリーズ、中国杯。羽生はフリー直前の6分間練習で閻涵=エン・カン(中国)と激突し、流血しながらも気迫の演技で2位に入った。その後も昨年末に尿膜管遺残症手術、今年1月末には右足首捻挫と、次々と襲いかかるアクシデントをはねのけてきた絶対王者が、因縁のリンクで輝きを放った。
日本男子初の2連覇が懸かるフリーは、28日に行われる。2連覇への思いを問われると「連覇は本当についてくるもの。ただ自分ができることをいっぱいいっぱいやっていきたい」。あくまでも自然体で偉業に挑む。