町田樹氏が電撃引退後初のアイスショー
昨年末の全日本選手権で電撃引退した、フィギュアスケートの“氷上の哲学者”町田樹氏(25)が、25日に開幕したプリンスアイスワールド2015横浜公演で引退後初の演技を披露した。
突然の引退劇から4カ月、ついにあの男が銀盤に帰ってきた。復帰のリンクに選んだプログラムはシューベルトの「Impromptu」。叙情的なピアノ曲に合わせて、現役時代さながらの情感たっぷりの演技を披露。中盤のジャンプで転倒はあったものの、実に6分近くに及んだ大作を完遂し、大喝采を浴びた。
ただ、本人はあくまで一学生の立場を貫いた。ファンからの花束や手紙、プレゼントなどは事前に辞退を表明。公演後のファンとの触れ合いの時間でも観客席からの声援に応えるだけで、プレゼントなどは受け取らず、颯爽とリンクを後にした。この日の公演後に行われた出演者による会見も欠席。徹底的に自己の世界観にこだわるに町田氏らしい対応だった。
圧倒的な世界観を持つ演技と、独特の言動から“氷上の哲学者”と呼ばれ、『ティムシェル(町田氏訳 自分の道は自分で切り開く)』という言葉とともにソチ五輪出場や、世界選手権銀メダル獲得などリンクを彩った町田氏は、昨年末の全日本選手権終了後の世界選手権代表発表で、代表として名前を呼ばれ、リンクに立ったが、その場で代表辞退と引退を発表。早大大学院に進学し、研究者を目指すことを表明した。
ただ、アイスショーの出演については「なお機会を与えて頂ければのお話ではありますが、今後とも研究活動の一環とアイスショー等での演技や創作活動を必要最小限の数の舞台において、経験させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます」としていた。
同アイスショーは25、26、29日、5月2、3日の日程で、計10公演行われる。