元千代の富士の九重親方が還暦土俵入り
大相撲の九重親方(元横綱千代の富士)が31日、東京・両国国技館で還暦の横綱土俵入りを行った。太刀持ちに白鵬、露払いに日馬富士と現役の両横綱を従えて、赤い綱を締めて力強い雲龍型の土俵入りを披露。館内からは「千代の富士」や「日本一!」と大きな声援が飛んだ。
幕内優勝31回、53連勝、通算1045勝と数々の偉大な記録を打ち立てて1991(平成3)年5月場所限りで現役引退。翌年2月に引退相撲を行ってから23年の年月を経て、千代の富士が両国の土俵に立った。この日のために慎重された赤富士がデザインされた化粧まわしに真っ赤な綱を締めて、現役時代を彷彿とさせる鋭い眼光を光らせながらのせり上がりに大きな拍手が寄せられた。
還暦の横綱土俵入りは1937年2月に22代横綱の太刀山が初めて行ったとされており、以後栃錦、初代若乃花、大鵬、北の湖らが赤い綱を締めており、九重親方は10人目。「横綱を経験している人だけ、しかも健康だから出来る。元気にやってきて良かった。感無量です」と荘厳なセレモニーを終えて満足そうな表情を見せた。
間近で伝説の大横綱のオーラを感じた現役の両横綱も感嘆。白鵬は「緊張しました。生で見れて最高でした」と顔を紅潮させ、日馬富士も「ずっとビデオで見ていたあこがれの大横綱と一緒の土俵に上がれて光栄です。この運命に感謝します」と語った。